不当な契約を強いられているという中小取引事業者の声を、どこまで反映できたのだろう。

 今週、政府の「デジタル市場競争会議」が、「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業の規制強化に向けて、新たな法案の概要を決めた。

 大規模な通販サイトやスマートフォンのアプリストアを展開する事業者を対象に、契約条件の開示や、運営状況を毎年度、政府に報告することを義務付けている。

 これを受けて政府は、新法案を今通常国会に提出する構えだ。

 通販サイトやアプリストアを仕切る巨大IT企業と比べて、出品する中小取引事業者らは圧倒的に弱い立場にある。

 不当な行為を防ぐため、サイトなどの運営状況を透明化することが急がれる。政府は、新法案を早期に成立させてほしい。

 新法案は、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案」との名称になりそうだ。

 対象となる企業は、市場シェアや売上高をもとに選ばれる。いわゆる「GAFA」の一角を占める米アマゾン・コムやグーグルのほか、楽天など国内外の数社が含まれる見込みである。

 これらの巨大IT企業に対し、契約条件の開示と政府への報告以外にも、取引先からの苦情に対応する体制の整備や、サイトで検索した結果の表示順について消費者に説明することを要請する。

 いずれも、適切な運営には欠かせない事項であろう。

 ただ、政府の会議では、巨大IT企業側が、一方的に取引事業者の不利益につながる契約内容の変更をしたり、商品の掲示を拒絶したりする行為をなくすため、「禁止事項」として法案に明記することが検討されていたのに、概要には盛り込まれなかった。

 巨大IT企業側から、事業展開の萎縮につながるとの反発があったからとみられている。

 契約変更など独占禁止法に違反する疑いのある行為については、公正取引委員会に対処を求めるとしている。だが、それでは、せっかく新法を施行しても、これまでと対応が変わらないのではないか。

 現に通販サイトの中には、出品者の不利益につながりかねない一部送料の無料化を、強行しようという動きもみられる。

 中小取引事業者らを、不当な契約から守るという当初の狙いを思い出し、新法案を実効性の備わったものとするべきだ。