エルジェが残したたくさんの物語やキャラクターたちは、彼が亡くなったあとも映画やアニメ、時にはTシャツやゲームソフトに形を変え、今でも世界中の子どもはもちろん大人たちにも愛され続けている。

 目が覚めるような鮮やかでカラフルな絵と細部まで美しい背景の描写、そして独特な温かみをもつ線の太さはどれも、僕が大好きなエイドリアン・トミネのグラフィック・ノベルやウェス・アンダーソンが作る映画の美意識に少なからず影響を与えているはずだ。

 彼らが作ったものがまた誰かに影響を与えていくのだろう。そうやって、美しいものはつながって残っていく。これからもずっと、エルジェの作品たちはその枝葉をたどった先で発見され、驚きを与え、そして愛され続けるはずだ。

 京都という自分にとって大事な町から大好きな場所がなくなってしまうことはとても寂しいことではあるけれど、その場所のこと、その場所があったことはこれからも僕やたくさんの人の中で残り続けるだろう。暖かで小さなランプのように。エルジェが作り続けた物語が、これから生み出されるであろうたくさんの音楽や映画、アートの中で息をし続けるように。