高島市に事前に通知している陸上自衛隊の「演習場使用予定表」。昨年9月18日の欄には照明弾の射撃試験についての記載はない

高島市に事前に通知している陸上自衛隊の「演習場使用予定表」。昨年9月18日の欄には照明弾の射撃試験についての記載はない

饗庭野演習場外に落下したIR照明弾の一部(2019年9月、高島市今津町・陸自今津駐屯地)

饗庭野演習場外に落下したIR照明弾の一部(2019年9月、高島市今津町・陸自今津駐屯地)

 滋賀県高島市の陸上自衛隊饗庭野(あいばの)演習場で昨年9月に照明弾の一部が民有地に落下した事故で、防衛省と陸自が、同演習場で同様の射撃試験を過去11回実施し、通常とは違う射撃試験の内容を市や住民に知らせていなかったことが1日までに、京都新聞社の取材で分かった。専門家は「防衛機密とまで言えず、内容を知らせないのは地元との信頼関係上、問題」と指摘する。
 射撃試験に使用された照明弾は、赤外線を使用し、人の目に見える光をほとんど発生させない「IR(赤外線)照明弾」。同省と陸自によると、射撃試験は、品質確認のため、2013年4月~19年9月に11回実施、正確な測定ができるよう通常より高度に打ち上げた、という。具体的な高度は「防衛機密」を理由に明らかにしていない。
 陸自は内規に基づき、射撃訓練予定を事前に市に通知しているが、事故発生時の射撃試験は「砲迫・爆破(81ミリ迫撃砲)」と、通常の実弾射撃訓練などと同じ説明内容で公開していた。
 事故は昨年9月18日に発生。同演習場で81ミリ迫撃砲を使って試射したIR照明弾16発のうちの1発が目標から南東に2・3キロずれ、民有地の畑に落下した。風に流されたのが原因とみられ、陸自は「事故防止技術も確立していない」として同演習場での射撃試験を中止している。
 同演習場では2018年11月、訓練中に迫撃砲弾1発が誤って国道303号近くに落下し、同市の男性が乗っていた民間車両を損壊した。

■防衛機密ではない

 防衛研究所員を務めた京都産業大の岩本誠吾教授(国際法)の話 パラシュートが開く高度が高く設定されており、風の影響を受けやすいと推測できる。演習場外に落下する危険性があった射撃試験を11回実施したにも関わらず、通常訓練より事故の可能性が高い内容を知らせないのは市や住民に不親切。防衛機密とまでは言えない内容の情報まで開示しないことは、地元との信頼関係を損ねることにつながりかねない。