一足早く春に触れようと毎年、長浜市で開かれる風物詩「長浜盆梅展」を訪ねる。今年も会場の慶雲館で3月10日まで、約90鉢の名木が清雅な香りで出迎えてくれる▼高さ2メートルになる「不老」は樹齢400年、「昇龍梅」は250年と伝わる。代々多くの人の手を経て、ここに鎮座する。今年も元気で何よりです、と声をかけたくなる▼かつて花見と言えば、桜ではなく梅の花だった。万葉集は梅の歌120首余りに対し、桜は約40首。万葉集巻5に大伴旅人が730(天平2)年正月、梅を愛でる宴で詠んだ「梅花の歌三十二首」を収める。漢文調で書かれたその序文が「初春令月、気淑風和」。新元号・令和の出典とされる▼安倍晋三首相はことさら国書が由来と強調するが、この序は中国の書聖・王羲之(おうぎし)による「蘭亭序」など詩の序文を模したといわれる。梅自体も、中国から遣唐使が持ち帰り広がったという▼その後、平安前期の「古今和歌集」で桜が梅を大きく逆転した。桜が花見の中心となり、近代は軍人、国の花に象徴される一方、梅は庶民の花であり続けた▼「桜を見る会」が国会で追及されている。長く続く政権のゆるみ、おごりだろう。いっそ古代にならって、「梅を見る会」に変えてみてはどうだろう。梅には薬用と腐敗を防ぐ効能がある。