英国がとうとう欧州連合(EU)から離脱した。47年前にEUの前身・欧州共同体(EC)に加盟して以来、各国とともに歩んだ歴史に終止符を打った。

 2016年6月の国民投票で離脱が決まってから、英国は離脱条件を巡るEUとの交渉が難航、国民世論も大きく割れた。

 昨年12月の総選挙でジョンソン首相率いる保守党が大勝し、離脱への流れが定まった。年末までの移行期間を経て、今後は独自の道を歩むことになる。

 EUにとって、加盟国の脱退は前身組織の1958年発足以降で初めての「大事件」だ。

 英国を含む加盟28カ国、総人口5億1千万人の巨大な単一市場の一角が崩れることは、欧州の将来ばかりか世界の経済、安全保障にも大きく影響しよう。

 国家主権の一部を譲り、国境の壁を取り払い、さまざまな規制を共通化するEUの試みは試練にさらされている。

 この状況にどう対応していくのか。日本を含め、世界各国が難題を突きつけられている。

 英国が直面するのは、経済上の困難だ。各国と関税や貿易の新たなルール作りが迫られる。

 まず、離脱したEUと独自の協定を結ぶ必要がある。加盟国とは無関税で貿易が可能だが、離脱後は協定がなければ高関税が課される可能性がある。

 日本・EU経済連携協定(EPA)の恩恵も受けられなくなる。日本との2国間協定を結び直す必要にも迫られよう。

 強みとされる金融分野だが、英国の金融機関がEU側で事業展開できるかも、今後のEUとの交渉にかかっている。

 離脱を見越して、英国から他のEU加盟国に生産拠点を移した企業も少なくない。

 離脱で経済政策の主導権を取り戻しても、抱える課題はあまりに多い。ジョンソン政権の交渉力が問われている。

 内政にも懸念を抱える。離脱の懸案だったEU加盟国アイルランドとの国境問題は、同国と陸続きの英領北アイルランドに限ってEUの関税ルールを適用する合意案をEUと結んだ。

 ただ、スコットランドではEU残留を求める声が根強く、英国からの独立要求も強まりそうだ。最近の世論調査では離脱を選んだ国民投票結果を「誤りだった」とする人が47%で、「正しかった」の40%を上回った。

 EU離脱を巡る議論は国論を二分し、連合王国の一体性を揺るがした。どう修復するか、重い宿題に直面している。

 一方、EUに対して、英国は約135億ユーロ(約1兆6500億円、2018年)を拠出しており、離脱は今後のEU財政にも大きく響く。国連安保理常任理事国で核も保有する英国の不在が、安全保障を含めた国際社会でのEUの存在感や発言力を低下させないか気になる。

 EUは自由や民主主義、人権尊重を理念に、一国主義に傾く米国や中国、ロシアへの対抗軸となってきた。だが近年、移民政策などへの不満から反EUを掲げる勢力が加盟国でも台頭、EUの立場は揺らいでいる。

 英国のEU離脱が世界のパワーバランスに与える影響も、しっかり見極めねばならない。