京都市長選で、現職の門川大作氏が、福山和人氏と村山祥栄氏の2新人を抑え、4期目の市政を担うことになった。

 京都市長に4選されたのは、門川氏を含め2人しかいない。有権者は安定を求めた形だが、福山、村山両氏も一定の支持を得た。現市政への不満が少なくないことを肝に銘じるべきだろう。

 多選の弊害を懸念する声もある。門川氏は、謙虚に市民の暮らしの足元を見つめてほしい。

 市の人口は2015年の147万人が頂点で、45年は129万人になるとの予測がある。18年には出生数が1万人を下回った。人口減を前提にしたまちづくりを進めなければならない。

 大きな争点になった「観光公害」は、税収が伸び悩む中、訪日観光客を呼び込むことに活路を見いだそうとした施策の副作用といえる。

 公共交通機関の混雑や、生活の身近なところにまで押し寄せる観光客とのトラブルは深刻化している。市中心部ではホテル需要による地価高騰で住まいが確保しにくくなり、若年層の市外流出を招いている。

 門川氏は、宿泊施設の新設を抑える方針へ転換し、市バスの混雑や主要観光地への集中を緩和するなどの対策をまとめた。市民生活と調和した観光都市づくりへ、効果の検証を重ねながら成果を上げてほしい。

 社会保障制度への不安感が高まっている。医療や福祉政策、子育て支援への市民の期待は大きい。

 選挙戦で門川氏は、在宅医療と介護をつなぐ地域包括ケアの充実や、6年連続で達成している保育所の待機児童ゼロ維持を掲げたが、支援を必要とする人に確実に手を差し伸べられる態勢づくりが不可欠だ。介護や医療、保育現場の人手不足対策にも取り組まなくてはならない。

 持続可能な都市像を示すには気候変動への対応も必要だ。市でも毎年のように台風や大雨などの被害が発生している。

 温室効果ガスの削減に有効な技術開発の支援は、産業育成にもつながる。市域の7割超を占める森林整備は防災面からの重要性が高まっている。地域の担い手が不足し、災害時に不安を残すコミュニティー再生にも力を尽くす必要があろう。

 市財政は、厳しさを増している。市債残高は門川氏の3期12年で減少したが、それでも1兆6600億円あり、市民1人当たりでは113万円にもなる。

 別荘所有者への新税を検討するほか、人件費などの歳出削減で任期中に700億円超を確保するとした。事業の見直しで市民に「痛み」を求める場合もあろう。職員数の縮小は市民サービス低下につながりかねない。丁寧な説明を尽くすべきだ。

 選挙戦は12年ぶりの3極対決になり、投票率は前回比で約5ポイント上昇した。ただ、国政で激突する与野党が門川氏推薦で共闘したことに、疑問を感じた有権者は少なくないだろう。

 国政と課題が異なる首長選での相乗りが一様に否定されるものではないとしても、有権者に十分な説明ができていたか、なぜ選択肢を示せなかったを、各党は問い直す必要がある。