「地元住民が飲食を楽しみながら、意見交換をできる場にしたい」と話す佐脇さん(宇治市宇治・BAR Kaguya)

「地元住民が飲食を楽しみながら、意見交換をできる場にしたい」と話す佐脇さん(宇治市宇治・BAR Kaguya)

 「BAR Kaguya」の店内。入り口を入ると家具や雑貨が並び、奥のカーテンをくぐると、カウンターバーがある

「BAR Kaguya」の店内。入り口を入ると家具や雑貨が並び、奥のカーテンをくぐると、カウンターバーがある

 京都府宇治市宇治で家具屋を営む佐脇至さん(56)が、雑貨や家具を販売するバー「BAR Kaguya」を始めた。学生時代に憧れた「隠れ酒場」のオーナーとしてカウンターに立ち、オリジナルのカクテルなどを出す。「地元住民が酒を酌み交わしながら、ざっくばらんに語り合える地域の出会いの場にしたい」と語る。

 佐脇さんは学生時代、喫茶店とバーを備えた「カフェバー」巡りに没頭した。京都市内を中心に数え切れないほどの店を訪れ、1杯のコーヒーを飲むために車を1時間以上走らせることもあった。
 「出た後も心地よさが残る店を開きたい」と夢見たが、卒業後は家具商社に就職。その後、終戦直後から続く家具屋の3代目となった。「家業を継ぐことが第一。自分の気持ちにふたをした」
 店が入っていたビルの老朽化などに伴い昨年、宇治橋通に面する家具屋の移転を決めた。移転先は、通りから細い路地を入った一角。宇治橋通り商店街振興組合の理事長としての顔も持つ佐脇さん。飲食を楽しみながら意見交換ができる街の拠点を兼ねた店にしたいと思い立った。
 プレオープンを経て、「Kaguya」を昨年12月に開いた。レトロな店内に入ると、以前の家具屋で売れ筋だった家具や雑貨が並ぶ。家具の修繕やオーダーも受け付けられるよう、ゆったりと座れる椅子も用意した。
 ワイン色のカーテンをくぐると、酒瓶が整然と並ぶカウンターが現れる。1920~30年代の米国のバーをイメージした。ウイスキーは、近年人気が高まっている国産の年代物をはじめ約70種類をそろえる。近くの「京都宇治茶房山本甚次郎」で生産する碾茶(てんちゃ)とジンを使ったカクテル「宇治橋通り甚トニック」などオリジナルメニューもあり、昼間はこだわりのコーヒーを出す。
 バーテンダーとして店に立って約1カ月。連絡先を交換する客や、知り合いを紹介する場面を何度も目にした。「学生時代の夢と、理事長としてやりたいことがつながった」
 動画投稿サイト「ユーチューブ」で発信する「ユーチューバー」としてウイスキーの魅力を発信するほど、酒への思いは人一倍。佐脇さんは「酒を飲んだ客がにこっと頰を緩めた時がうれしい。バーに入ったワクワクとドキドキが提供できる店として頑張っていきたい」と語る。
 正午~午後11時半。水曜定休。