マンションも住む人がいなくなると空き家となり、放置されれば周辺に迷惑を及ぼす。

 野洲市で、危険な状態になっていた空き家マンションの解体工事が始まった。所有者に代わる市の行政代執行で、分譲マンションが対象となるのは、全国的にあまり例がない。

 マンションの、いわば強制撤去に、自治体が乗り出す時代になったということだ。

 当該の物件は長年放置され、天井や外壁が落ちていた。アスベストの付着した鉄柱なども、むき出しだった。

 市は、空き家対策の法に基づき、9人の所有者らに自主的な解体を求めていたが、全員の合意が得られず、代執行に踏み切った。

 手続きを経ており、やむを得ない措置だろう。

 人口減社会が到来し、人が住まなくなった空き家は増える一方である。

 総務省の全国調査では、一昨年の10月時点で846万戸あり、過去最多となった。住宅総数に占める割合は13・6%に達し、8軒あれば一つは空き家だ。

 行政代執行による一戸建て住宅などの解体は、すでに各地で行われている。

 問題は、その費用をどう工面するか、ということであろう。

 同省によると、全額回収できたのは、わずか10%にとどまり、自治体がすべて負担したケースが27%にも上る。

 一般的に、一戸建てよりマンションの方が費用はかさむ。

 野洲市は今回の工費を約1億円と見積もり、所有者に請求する方針だが、支払いの見込みが立っているわけではなさそうだ。

 回収できない場合、問題を放置してきた責任があるとして、滋賀県にも負担を求める予定という。これに県が同意するかどうかも、定かではない。

 いずれにせよ、公的負担が発生する可能性は高い。納得できない住民も、いるはずだ。

 京都市は、管理不全と判断した空き家に対して、固定資産税を軽減する特例を解除する方針を決めている。早期解体や中古物件としての流通を促すという。

 観光や商業、福祉施設への転換が可能なら、後押しする制度があってもよいだろう。不動産に関する民間のノウハウも、参考にすべきだ。

 行政代執行が避けられない事態となる前に、空き家マンションなどが生じないようにする対策を行ってもらいたい。