新型コロナウイルスとの向き合い方について語る中山教授(京都市左京区・京都大)

新型コロナウイルスとの向き合い方について語る中山教授(京都市左京区・京都大)

 新型コロナウイルスの感染が懸念される中、現状では危険性や感染力など分からないことが多い。今後も感染拡大のリスクがある「未知のウイルス」に対し、どのように向き合えばよいのか。ヘルスコミュニケーションが専門の京都大医学研究科の中山健夫教授に聞いた。

 -新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。
 「ウイルスなどによる感染症は常に新たなタイプが出現する。現状では、新型コロナウイルスが過去に生じた新型ウイルスと比べてどの程度危険かも分かっていない」
 -今後の動向を見極める上で重要なことは。
 「専門家の示す科学的な知見が、すべての人が納得できる対策に直結する訳ではない。同じ事実を前にしても当事者の価値観によって異なる行動につながる。例えば現在、症状が出ない不顕性感染の人の多さが指摘されている。不顕性感染の人が多いということは、症状が軽くても他人に感染しやすいと言える一方、致死率は低いとも言える。不顕性感染の多さを怖いと取るか、怖くないと取るか、その人の価値観による」
 -自分で判断する時に気を付けることはあるか。
 「重要なのは、一つの事実からでも異なる判断を引き出せる点を自覚することだ。今後、感染が増えていくのはほぼ確実だろう。その中で、厚生労働省や世界保健機関(WHO)などの信頼できる情報を収集し、できることを見極めていきたい。一般の方もできること、するべきことを考えると、現状では手洗いなどが重要であり、ある意味それで充分だろう」
 -感染者の隔離なども重要となる。
 「そうした対策は必要だが注意したいのは、感染者の隔離などは一定の人権の制限でもある点だ。もちろん法律に基づいた決定であれば、隔離などは進めなければならない。だが10年前の新型インフルエンザの流行では、集団感染のあった学校の関係者がタクシーの乗車拒否に遭うなど過剰反応が多かった。一歩間違えれば差別につながる危険性を私たち自身も自覚し、自制しながら、適切な対策を探る必要がある」