民営化に向け、大津市が手続きを進める地方卸売市場(大津市瀬田大江町)

民営化に向け、大津市が手続きを進める地方卸売市場(大津市瀬田大江町)

 大津市の公設地方卸売市場(瀬田大江町)の民営化に向けて事業者を公募していた市は、大和ハウス工業(大阪市)を代表とする企業グループを優先交渉権者に選定した。同グループが50年間の長期運営を提案した点などを評価した。ただ、契約前の協議に時間がかかり、6月の予定だった民営化は遅れるとしている。

 一方、公募期間中に市が、複数の事業者の意見を取り入れる形で固定資産税の免除などを条件に追加したことを巡って、市議会からは疑問の声が上がっている。1月に就任した佐藤健司市長は「行政の手続きとして適正なのか、検証する必要がある」との見解を示しており、今後曲折がありそうだ。
 公募による地方卸売市場の民営化は全国初。昨年3~11月の募集に複数の事業者が参加の意向を示していたが、市によると、実際に応募したのは大和ハウスのグループのみだった。
 同グループが市に示した事業提案では、運営期間は条件の最大となる50年。土地(約7万1千平方メートル)の賃借料は年間12円、建物と設備の譲渡対価は1円とし、実質無償で引き継ぐ。その上で施設を建て替え、市民向け店舗も新設するなど「開かれた市場」を目指すとしている。
 市は当初、2月市議会で本契約に関する議決を求める予定だったが、有識者らでつくる事業者選定委員会が費用負担やリスク分担などについて「(市と提案者に)認識の齟齬(そご)が生じないよう」十分な協議を求めたことから、議案提出を延期する方針を固めた。市の担当者は「提案書だけで判断できない部分が多い。一つ一つ課題をクリアするため、事業者と丁寧に協議を進める」としている。
 同市場は、年間約3千万円に上る赤字の解消や、築30年以上で老朽化している施設の更新などが課題となっている。