米中貿易摩擦の影響や対策

米中貿易摩擦の影響や対策

 京都に本社を置く大手電子部品メーカー4社の2018年9月中間決算は、全社が増収増益で、京セラと日本電産は最終利益が上期として過去最高を更新した。自動車やスマートフォン向けの部品需要はなお堅調で、19年3月期は4社とも増収増益の予想を維持。一方、収束が見えない米中間の貿易摩擦で先行きの不透明感は強まっており、生産体制を見直す動きも出始めた。

 9月中間決算では、ロームを除く3社が売上高を過去最高に伸ばした。業績拡大を支えたのが車載部品だ。安全機能を高めるためセンサーやカメラの搭載が増え、京セラは車載用カメラ部品が伸長。ロームは高密度集積回路(LSI)、日本電産はパワーステアリングや駆動用のモーターの受注を積み上げた。

 「特に自動車向けで想定を上回る需要があった」。村田製作所の村田恒夫社長は車載部品の旺盛な引き合いについてこう語った。世界シェア首位の積層セラミックコンデンサーは、売上高が前年同期から640億円増え、工場のフル操業で利益率も改善。19年3月期の収益予想を上方修正し、最終利益で2100億円(前期比44%増)を見込んだ。

 1ドル=110円前後と円安水準で安定した為替相場も、各社の収益を押し上げた。65億円の為替差益を計上したロームの藤原忠信社長は「経常利益と純利益は、為替に助けられた」と述べた。

 だが、事業環境の風向きは急変しつつある。最大の懸念材料が、深刻化する米中間の経済対立だ。現時点では4社とも「直接的な影響は少ない」とするが、制裁関税の応酬について京セラの谷本秀夫社長は「自動車の関税が引き上げられれば影響は避けられない」と指摘し、警戒感をにじませた。

 日本電産は、中国で生産する自動車と家電用部品の一部を夏ごろからメキシコに移管し始めた。本年度中に約200億円を投じて米国向けに輸出するメキシコの工場を増強し、関税を回避する。

 世界経済の後退も念頭に、期初に設定した1ドル=100円という円高水準の為替レートを下期以降も維持し、19年3月期の業績予想も据え置いた。永守重信会長は「われわれは風が吹かなくとも、凧(たこ)(=業績)をあげる」と強調。世界43カ国にある生産網を柔軟に組み替えて競争力を維持し、逆境をチャンスに変える戦略を描く。