横田早紀江さんの実家にあったひな人形(日野町大窪・近江日野商人館)

横田早紀江さんの実家にあったひな人形(日野町大窪・近江日野商人館)

 北朝鮮による拉致被害者横田めぐみさん=失踪当時(13)=の母早紀江さん(84)の実家にあったひな人形6体が9日から、滋賀県日野町大窪の近江日野商人館で公開されている。同館は所有者を伏せて展示してきたが、「拉致問題への関心を広げるきっかけにしたい」と、初めて経緯を紹介する。

 ひな人形は2015年6月、京都市中京区にある早紀江さんの実家の納屋が解体された際に見つかった。作業に携わった同町の男性が早紀江さんから譲り受け、16年11月に同館に寄贈した。
 
 町中心部では毎春、民家や店舗などにひな人形が並ぶ「日野ひなまつり紀行」が開かれる。同館は17年春から、早紀江さんの情報を示さず、ほかの約240体と一緒に展示してきた。拉致問題が一向に進展しない中、満田良順館長(73)が「問題を知ってもらえる手助けをしたい」と昨年12月、経緯を紹介する許可を求めて早紀江さんに手紙を送ったところ、快諾の返事が届いた。
 
 会場には、江戸末期と1877(明治10)年に作られた衣冠束帯姿の男びなと、十二単(ひとえ)姿の女びな2組4体が並ぶ。1902(明治35)年作の家来2体も飾られている。
 早紀江さんが同館に送った年賀状のコピーも添えられ、直筆で「拉致事件を皆さまに考えて頂けましたら有難い事でございます」との願いが込められている。
 同館は、早紀江さんの了解を得て、ひな人形を「待ちわび雛(びな)」と名付けた。今月3日には、拉致被害者の有本恵子さん=失踪当時(23)=の母嘉代子さんが94歳で亡くなった。被害者家族の高齢化が進む中、満田館長は「帰国を待ちわびる家族が亡くなってしまう現状がある。一刻も早く救出を実現するためにも、大勢の人たちに問題意識を持ってもらいたい」と話す。
 3月8日までのひな祭り紀行に合わせて公開する。午前9時~午後4時。入館有料。同館0748(52)0007。