京都地裁

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勾留請求の却下率の推移(京都地裁まとめ)

勾留請求の却下率の推移(京都地裁まとめ)

 起訴前の弁護活動の活発化により、ここ10年で京都地裁が京都地検による容疑者の勾留請求を却下する傾向が上昇している。全国の地裁でも同様の傾向がみられ、冤罪(えんざい)の誘発が指摘される「人質司法」の脱却に向けた変化が、徐々に生まれつつある。

 刑事訴訟法では、警察や検察による逮捕後、検察官が裁判所に最大10日間の勾留を請求し、さらに最大10日間の延長を請求できる。裁判所は、証拠隠滅や逃亡の恐れがあると疑う相当な理由がある場合、勾留を認める。
 京都地裁のまとめでは、地検の勾留請求数に対する却下率は、2008年が0・58%だったのに対して、18年が4・47%と、ここ10年で約4ポイント増えた。全国的にも同様の傾向で、検察統計によると全国の裁判所の勾留請求却下率は、08年の0・77%から、18年は4・88%に伸びた。
 背景にあるのは、起訴前の弁護活動の広がりだ。勾留の長期化で容疑者が捜査機関に迎合する恐れがあり、全国の弁護士会は、不必要な身体拘束の解放に向け、地裁が地検の勾留請求を認めた際、弁護人による不服申立(準抗告)を積極的に取り組むよう力を入れている。
 京都弁護士会では、18年から勾留が認められた全ての事件で、準抗告を申し立てる活動を3カ月間集中して展開。妻を介護中だった窃盗容疑の高齢男性に対し、地裁が逃亡の恐れを否定し勾留が取り消されたケースなど、18年は準抗告により31件で勾留が取り消された。
 また、14年に京都の弁護士の特別抗告で、最高裁が勾留の必要性の判断基準を明確化した決定を出したことも、勾留請求却下の追い風となっているとみられる。
 一方、京都地検は「勾留請求は抑制的に行っている」と説明。性犯罪事件などで容疑者が被害者に接近する恐れがある場合は被害者代理人の弁護士と協力して、裁判所に勾留を求めているとしている。
 京都弁護士会刑事委員会の西田祐馬委員長は「裁判官の意識の変化に手応えを感じる。この流れを発展させ『人質司法』打開の一助にしたい」と話す。

≪人質司法≫

 日本の司法制度では、否認している容疑者や被告は保釈されない傾向にある。日弁連や国際人権団体などは、長期の身柄拘束で警察や検察の意に沿った供述をしてしまう恐れがあり、冤罪の温床になっていると指摘している。前日産自動車会長のゴーン被告の事件では2018年11月の逮捕以降、連続108日に及ぶ身柄拘束が続き、海外メディアなどが「人質司法」と批判した。