パーム油バイオマス発電所の建設予定地。西側には集落がある(舞鶴市喜多)

パーム油バイオマス発電所の建設予定地。西側には集落がある(舞鶴市喜多)

 京都府舞鶴市喜多の府有地に建設が計画されているパーム油バイオマス発電所に対し、生活環境の悪化などを理由に地元住民らが反対している。地域経済の振興のため建設を推進する市は住民向け説明会に乗り出したが、住民の不安は強く、溝は埋まっていない。

 「なぜ公害を発生させる発電所が必要なのか」「静かな海がある環境の良いところなのに、不安と心配で困っている」。1月25日に、喜多地区住民を対象に開かれた発電所の立地計画住民説明会。会場に詰めかけた100人から質問や反対の意見が相次いだ。
 住民たちが最も懸念するのが、住環境の悪化だ。発電所の建設予定地近くには約200世帯が住む集落があり、最も近い家は90メートルしか離れていない。発電所のディーゼルエンジン発電機の騒音や振動、パーム油燃焼時の臭気を含む排ガスの影響を心配している。
 実際、福知山市土師新町のパーム油バイオマス発電所(2017年から稼働)では、騒音や臭気が発生。近隣住民が昨年9月、市に対策を求める請願書を市議会に提出し採択され、舞鶴市で一層不安が広がった。
 喜多地区住民らでつくる「舞鶴西地区の環境を考える会」は12月下旬、建設中止を求めて、地区の9割以上を占める185世帯417人の署名を市に提出。1月には、喜多地区の総会で建設反対を決議した。
 そうした状況を受け、市は「正確な情報が伝わっていない」と、住民への説明に乗り出した。1月31日までに喜多地区を始め、建設予定地周辺5地区で説明会を開催。市と発電所の建設保守を担当する企業の担当者らが、福知山市内の発電所との違いや、環境影響評価に基づいて試算した具体的な予想値を示し、「生活や健康に影響はない」と強調。違反事項を是正しない場合は、事業者に一時操業停止などを指示できる環境保全協定の締結を明言した。だが、考える会喜多地区代表の大西寛治さん(64)は「示された規制基準では安心できない。国の基準に対してどうかを示すだけでは分かりにくく、住民の理解が得られる内容ではなかった」と語った。
 市は「市民の生活を犠牲にするようなことはしない」(堤茂副市長)として、引き続き住民に理解を求めていく考えだ。瀬川治産業振興部長は「住民の不安はぬぐい切れていないと認識している。双方が協議する場の設置なども検討して、説明の仕方を工夫し、今回意見に出た一つ一つの事項に対して丁寧に対応していきたい」としているが、双方の隔たりは大きいままだ

≪発電所の概要≫

 カナダの再生エネルギー開発投資会社の日本法人が出資する合同会社が日立造船(大阪市)に委託して建設、運営。国際認証を受けたパーム油を使い、一般家庭12万世帯の電力に相当する66メガワットを発電、関西電力に売却する予定。

<記者の視点>

行政への不信感、反発の一因

 説明会を聞いて、住民の反発は、環境への懸念だけでなく、行政への不信感も一因だと感じた。実際、質疑では「市は地域のことを考えていない」との意見も出ていた。
 会の冒頭、堤副市長は「不安や混乱を招いたのは、コミュニケーションが不十分だった」と述べた。立地要請した行政も、事業者任せにせずに早い時期から説明していく必要があったのではないか。反省を基に、住民の心配や疑問に対して、誠実に向き合っていくことが求められる。