「鉄道の父」とはジョージ・スチーブンソンのこと。英国で炭鉱作業員から立身出世した19世紀の偉人だ。息子のロバートとともに蒸気機関車を開発し鉄道網を整備した▼この父子らが起こした会社製の「123号機関車」が京都府与謝野町の加悦SL広場で展示されている。1873年に製造され、後に丹後ちりめんの里を駆けた国の重要文化財だ▼この「123号」を含め各地のSLがピンチだ。車両の老朽化に加え維持費、保存に携わる人の高齢化などさまざまな課題があるようだ。京都市内ではトロッコ嵯峨駅前のD51が解体された。1971年に引退後、野外展示で傷みが激しくなり役目を終えた▼加悦SL広場は運営会社が閉園を検討中で計27両の引き取り先を探している。保存会の吉田博一理事長(58)は「多くの人が心血注いで守ってきた。何とか恒久保存できないか」と気をもむ▼公園や小学校などで見掛けるSLは、関係者の鉄道愛と奉仕の精神に支えられてきた。解体のニュースが届く一方で、北九州市が引き取り先を募集していたSL「9600形」は地元企業が手を挙げた。工場敷地内で展示するという▼人と貨物を運び近代化をけん引したSLが「お荷物」扱いになるのは惜しい。産業遺産として新しい価値を見いだせないだろうか。