今回の選考では、撮影者の狙いが伝わる作品が多く見受けられました。明確なメッセージを持った写真は、力強く、見る人に訴えます。意図を伝えようとする努力は、写真技術を磨くことにもつながります。
最優秀賞は、西さんの「気迫」を選びました。力点が的一点に向かう構図が写真に力強さを与えています。覆い焼きの効果で人物を浮かび上がらせて強調。モノクロ写真の良さを再認識させてくれる1枚です。優秀賞の「夕映えのシルエット」は児玉さんの労作。3秒間の露出をかけて湖面を滑らかに表現。落ち着いた色調と濃淡で美しい情景を演出しています。田中さんの「小宇宙」は、蜘蛛の巣の網目が逆光で浮き立ち、きらきらと光る造形美が魅力的です。
佳作では、カモの仕草が楽しい「シンクロカモ」が目を引きました。リズム感と瞬間の面白さがあります。多喜さんの「福よ来い」は、わざと人々の影を撮ることで、見る人の想像力をかき立てる作品に仕上げています。 今年は暖冬のようですが、体調管理を怠らず、入念な準備をして撮影に臨んでください。
(写真部長 奥村清人)
最優秀賞 「気迫」(京都市北区・上賀茂神社) 西 正幸

【評】すっと伸びたたくましい腕と矢。そして的を凝視する目線とが画面中央を貫き、力強い写真を生み出しました。余計な色を省いたモノクロ写真の良さが存分に発揮されています。
優秀賞 「夕映えのシルエット」 (長浜市の琵琶湖) 児玉 浩一

【評】夕暮れの湖の風情がとても美しい。長時間露出で湖面を滑らかに見せる工夫。手前の枯れ草、中央の木々、遠くに山並みを配置する構図が絶妙な遠近感を生み出しています。
優秀賞 「小宇宙」(京都市北区) 田中 はるお

【評】逆光に浮かび上がった蜘蛛の巣の造形美が素晴らしい作品です。ちょっと不規則に張られた網目の形に不思議な魅力があります。
以下佳作
「シンクロカモ」(草津市) 藤原 厚士

「陽光が射す」(高島市・ビラデスト今津) 赤井 春雄

「伊達姿」(左京区・宝ケ池) 片岡 昭男

「冬も命の水しぶき」 (大津市・琵琶湖大橋) 佐藤 幾太郎

「真夜中サーキット」 (京都府久御山町・久御山ジャンクション) 渡辺 和

「福よ来い」(長浜市・豊国神社) 多喜 信一

「天高く」(京都市) 南 貴博

「ONE TEAM」 (下京区・五条大橋付近) 岡田 亮

「合掌」(右京区・愛宕念仏寺) 田中 雅之

「爽快」(伏見区・宇治川堤防) 岡本 正嗣
