長年の妖怪研究について語る小松さん(京都市左京区、京都府立京都学・歴彩館)

長年の妖怪研究について語る小松さん(京都市左京区、京都府立京都学・歴彩館)

 妖怪を研究してきた国際日本文化研究センター所長の小松和彦さん(72)の講演会がこのほど、京都市左京区の京都府立京都学・歴彩館であった。学究生活で探し訪ねた京の異界の痕跡を語り、「口承や書物、劇、絵といったあらゆるところに妖怪を見いだすことができる」と日本固有の文化であると紹介した。

 妖怪について、小松さんは、神とは違って人の手に余り、災いなどの目に見えない要因を説明できるものとして人が生み出したと説明。「(平安京北辺にあった)一条戻橋など空間の境目に、この世(人間界)とあの世(異界)をつなぐ入り口があった。家の中にもあって、かつてはトイレを恐れた」と述べた。
 また、鞍馬で天狗(てんぐ)に兵法を学んだ牛若丸や、神泉苑の雨乞い祈祷(きとう)で空海に負けた僧・守敏の逸話に触れ、「妖怪の存在は土地の記憶を呼び起こし、時に日本文化の暗い地下水脈を明らかにすることもある」と話した。
 嵯峨嵐山地域の活性化に取り組むNPO法人「さらんネット」が催し、約330人が聞いた。