オーストラリアで昨年から猛威を振るっている大規模な森林火災が、ようやく沈静化の兆しを見せ始めた。最も被害の大きい東部ニューサウスウェールズ州の消防当局が先日、火災の事実上の「制圧宣言」を出した▼今月初めのまとまった雨が、火の勢いを抑えるのに役立ったという。だが、その雨が新たな災難をもたらした。過去30年で最大の降水量を記録し、洪水などの被害が出た▼森林火災の拡大は、地球温暖化による気候変動の影響が大きいと指摘されている。昨年の豪州は平均気温が観測史上最も高くなった一方、平均降水量は過去最少だった▼乾燥した樹木に次々燃え広がった炎で、吸収されていた二酸化炭素(CO2)が大量放出され、温暖化に拍車がかかると懸念されている。「恵みの雨」にとどまらなかった記録的な豪雨も、進行中の気候変動と無縁ではなかろう▼日本の国土の6割という森林を失った豪州だが、温暖化対策への腰は重い。昨年末の国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)では、温室効果ガスの削減に消極的な姿勢が目立ち、環境NGOから「化石賞」を贈られた▼その豪州から最も多くの石炭を購入する日本も、化石賞を受賞した。他国の災害で済ますことはできないはずだ。ともに重い腰を上げねばならない。