通販サイト「楽天市場」を運営する楽天に対し、公正取引委員会が立ち入り検査に入った。

 一定額以上の購入者への送料を出店者負担で無料にする方針が、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)にあたるとの疑いだ。

 強い市場支配力を背景に、取引先に不当な契約を押しつけていないか-。「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業の戦略に公取委が警告を発した形だ。

 ただ、楽天の三木谷浩史会長兼社長は、送料無料の新制度を来月18日からスタートさせる方針を変えていない。

 楽天は新制度に関する公取委との事前相談で独禁法違反のおそれがあると指摘されていたという。導入を強行したといえる。

 違反が確認されれば、公取委は排除措置命令などの行政処分に踏み切るとみられる。展開次第では他のネット通販にも影響しよう。

 送料無料化は楽天市場の競争力を高めるための切り札だという。それなら、まず自らの努力で実施するのが筋ではないか。出店者に負担を求めるのは一方的すぎる。

 新制度は1店舗で3980円以上購入した場合に送料を一律無料にする内容で、昨年12月に出店者に通知された。

 これに対し、出店者の一部が公取委に調査を求めていた。

 楽天市場には約5万店舗が出店している。利幅が大きくない出店者もあり、送料負担すれば利益が出なくなるなどの声も出ている。

 楽天は、「利用者の使い勝手が良くなれば売り上げも増える」と強調、送料は商品価格に上乗せするなどの方法もあると説明する。

 確かに、ネットを使ったサービスは利用者が拡大すれば利便性が向上する可能性はある。その分、大手サイトの独占が進み、中小の出店者は大手への依存がやめられない傾向にあるという。

 楽天はライバルのアマゾンとの競争で劣勢にあり、それが新制度導入の背景とされる。

 だが、このまま導入を急げば、価格設定への不透明感から顧客離れにつながる可能性もある。

 長期的には楽天の足元も揺るがしかねない。送料のあり方などについて、出店者側と十分に協議することが欠かせない。

 政府はプラットフォーマー規制に関する法案を今国会に提出する構えだが、不利益につながる一方的な契約変更などには曖昧な面も残す。それだけに、特定企業が持つ優越性の是非には敏感でありたい。公取委の責任も大きい。