草津市長選は現職の橋川渉氏が無投票で4選を決めた。自民や立憲民主など5政党が推薦し、市議会の大半が支持した。

 実績が一定評価された側面はあるにしろ、約13万5千人が暮らす滋賀県内第2の都市のかじ取り役を選ぶ4年に1度の機会が失われたのは残念だ。

 選挙を通じて民意をくみ取る機会がなかった分、橋川氏はこれまで以上に市民の声に耳を傾け、丁寧な市政運営を心掛けてほしい。

 停滞に悩む地方都市が多い中、草津市の発展はめざましい。人気都市のランキングでは近畿上位に登場し、今も高層マンションや大規模な住宅開発が続く。人口は2030年のピーク時に14万7千人に達すると市は予測する。

 一方で、急速な都市化に伴うひずみも目立ってきた。旧宿場町の落ち着いた景観は統一感を失い、駅周辺の交通渋滞は激しさを増している。琵琶湖に近い農村部では人口減と高齢化が進み、格差の拡大が将来への影を落としている。

 子育て世帯の急増が続く中で、保育ニーズへの対応も後手になっている。

 昨年4月時点で県内市町最多の70人だった待機児童は今月1日には369人に膨れ上がり、4年前の同時期の1・6倍になった。その間の施設整備で定員は約千人増えたものの、全国的な保育士不足もあって事態は悪化している。

 待機児童解消について橋川氏は「任期中にゼロに」と説明するが、具体的な目標とスピード感を持って取り組むべきだ。

 慎重な姿勢は実直さの表れとも言える。だが過去12年の足跡を振り返ると、ごみ焼却施設や市民体育館などのハード事業を着実に進める一方で、橋川氏ならではの特色が見えにくい。

 懸案である烏丸半島への観光交流施設の誘致や栗東市との共同火葬場整備のほかにも、農業振興や景観施策で独自色を出したり、ソフト事業で他市の手本になる施策があっていい。

 今後は間違いなく高齢化が進む。橋川氏も当選後の会見で、将来を見据えた対策を講じると強調した。

 周辺部の均衡ある発展を図る地域再生計画の具体案策定も進めており、手腕の見せどころだ。

 わがまちを良くしていこうとする若い母親や高齢者のグループなどの市民活動は活発だ。多選となった橋川氏が指導力を発揮して、歴史や自然もある草津の潜在力を生かせば、「住み続けたいまち」として魅力は高まるだろう。