国会では「不規則発言」と呼ぶそうだ。やじのことである。週明けに仕切り直した衆院予算委員会の冒頭、安倍晋三首相は「不規則発言は厳に慎むよう、首相として身を処していく」と早口で謝罪した▼「タイは頭から腐る」との野党議員の政権批判に「意味のない質問だ」とやじった。首相いわく「罵詈(ばり)雑言」が腹立たしかったようだが、大人げない。同様の場面を何度見たことか▼閣僚らの失言や不規則発言に慣れっことはいえ、意に沿わぬ質問を拒む首相の姿勢にあきれる。長期政権のおごりが見え隠れし、これでは内閣支持率の急落も当然であろう▼懸念が深まる景気や新型肺炎など、論議して対策を講じる課題は多い。それでも「桜を見る会」疑惑が尾を引き、カジノ汚職や検事長人事のごり押しで野党の追及がやまない。きのうも首相答弁を巡り、予算委審議が混乱した▼思うに任せない国会運営へのいら立ちも理解できないわけではない。だが自らの振る舞いに起因していることに気づくべきで、孔子いわく「過ちて改めざる是(これ)を過ちと謂(い)う」。時に非を認め、改める度量も必要だろう▼「タイは魚の王」とされる。「腐ってもタイ」ともいう。せっかく例えられたのならば、通算在職が憲政史上最長となった首相としての品格を備えてもらいたい。