高島市議会事務局が作成した文書。「議員としての怠慢を指摘される」などの文言が記載されている

高島市議会事務局が作成した文書。「議員としての怠慢を指摘される」などの文言が記載されている

 高島市役所

高島市役所

 滋賀県高島市が計画する新ごみ処理施設の用地取得を巡り、同市議会事務局が昨年12月、関連議案を審議する市議8人に「法的および道義的にも否決できるものではない」と、原案通りに可決するよう圧力をかける内容の文書を配布していたことが19日分かった。市議会(定数18)は同議案を否決。文書を受け取った市議は「市長部局の意向を忖度(そんたく)した議会事務局による不当な圧力だ」「議会制民主主義の根幹に関わる問題」と批判を強めており、専門家も「極めて異例な文書で、不適切」と指摘している。

 文書は「12・12 議会事務局作成」と書かれたA4判1枚。12月13日、市議会産業建設常任委員会での採決前の休憩時間に、委員長ら委員6人と議長の計7人に配られ、委員会採決後に副議長にも手渡された。
 文面は、当該地での施設建設を前提に予算の一部(国費を含む)が既に議決を経て執行されていることを挙げ、用地取得案について「法的および道義的にも否決できるものではない」「否決すれば、必要な時期に必要な対応をしてこなかったという議員としての怠慢を指摘される」と記述。「議会の裁量権を超えるまたは濫用(らんよう)した場合には責任を問われる」と、“否決=権限の乱用”であるかのような文言も記していた。
 これを受け、広本昌久議長は「文書は越権行為というべき内容」として委員会終了後、日置武司・議会事務局長に口頭で厳重注意した。日置事務局長は、京都新聞社の取材に対し「文書は採決の判断資料として作成した。議員の職務を否定する意図はない」と説明。誰が最初に指示したかなど、作成の経緯については明言を避けた。
 市は、安曇川沿いの朽木宮前坊地区約4・4ヘクタールに新ごみ処理施設を計画。本年度は基本計画の策定や土地の測量を実施し、市議会12月定例会に用地取得案を提出した。一方、市議らは6月定例会以降、安曇川増水による「水害リスク」を指摘。8~10月には九州北部や関東で大雨被害が相次ぎ、12月13日の委員会では賛成2反対3、同20日の本会議でも賛成8反対9で同議案は否決となった。

■ 処分があって当然のケース

議会と行政の関係に詳しい同志社大総合政策科学研究科の新川達郎教授(行政学、地方自治論)の話  

 議員が審議するために必要な情報を収集し、バランス良く整理するのが議会事務局としての本来の役割。今回の文書の内容は極めて異例で、その条件に適合しているとは言えない。コンプライアンス(法令順守)に関わる問題で、議長から何らかの処分があって当然のケースだ。