学校法人「森友学園」前理事長の籠池泰典被告と妻の諄子被告に大阪地裁が有罪判決を下した。

 小学校建設などを巡り、国や大阪府、大阪市の補助金約1億7千万円をだましとったとして両被告が詐欺罪などに問われた裁判だ。

 地裁は泰典被告を懲役5年、諄子被告を懲役3年、執行猶予5年とした。小学校の建設費を水増して請求したと認定し、両被告の無罪主張を退けた。

 一連の「森友疑惑」では、小学校予定地のため国有地が8億円も値引きして売却され、前代未聞の決裁文書改ざんまで起きた。

 だが、刑事責任が問われたのはこの詐欺事件だけだ。森友疑惑の本筋とはいえず、疑惑の核心部分は解明されていない。

 一審の判断は出たが、疑惑が晴れたわけではない。国会の場などで引き続き追及すべきだ。

 一連の疑惑を巡っては、当初から検察の消極姿勢が目立った。

 詐欺事件の起訴状では被告と業者との共謀を記しながら、業者は誰も罪に問われなかった。不自然な印象が否めない。

 値引きや文書改ざんに関わったとして告発された財務官僚ら38人全員を大阪地検は不起訴にした。

 検察審査会の「不起訴不当」の議決を受けて再捜査を行ったが、改めて不起訴の判断を下し、捜査は終結した。疑惑の本筋について公開の法廷で真相に迫る機会は失われた。検察には、真実を解明する意思があったのだろうか。

 小学校建設を巡っては、財務省側が定期借地契約を結び、分割払いも認めた。異例の厚遇ぶりだ。

 当初の決裁文書には「特例」の文言とともに、安倍晋三首相の妻昭恵氏や政治家の名前もあったが、問題発覚後に削除された。

 両被告の公判では、泰典被告が小学校建設と昭恵氏との関わりについて証言している。被告と首相周辺との具体的関係は、事件の全貌を明らかにするうえで重要な要素ではなかったか。

 本来なら、起訴段階でこうした背景にもメスを入れ、関係者の調書などの証拠を公判の場で積極的に示すべきだった。

 泰典被告は控訴するという。今後の審理では、一連の疑惑を被告らによる単なる詐欺事件に矮小(わいしょう)化してはなるまい。

 政権に近い人物の意向を、ルールをねじ曲げて優遇した点で、加計学園や「桜を見る会」問題にも共通する。それらの疑惑の解明を進めるためにも、「森友」の真相を闇に葬ってはならない。