60センチほどに成長した巨椋ねぎ。地中で太く育った真っ白な部分に甘みが詰まっている(久御山町野村)

60センチほどに成長した巨椋ねぎ。地中で太く育った真っ白な部分に甘みが詰まっている(久御山町野村)

 京の伝統野菜でブランド産品「九条ねぎ」の一大産地として知られる京都府久御山町で、白ネギの生産が拡大している。府内ではほとんど栽培されていないが、試食販売会を開くと完売するほど好評だ。ネギと言えば青ネギ―。関西のそんな食文化に挑み、ブランド化を目指している。

 先までピンと育った白ネギが整然と並ぶ同町の畑。根元から力いっぱい引っこ抜くと、土に埋まった真っ白な部分が顔を出した。長さは60センチほどで、重さは約300グラム。「これが『巨椋(おぐら)ねぎ』。立派でしょう」。久御山町の農家5軒でつくる「百姓の匠(たくみ)」の会長奥山眞嗣(まさつぐ)さん(53)は胸を張る。
 関西の料亭やレストランで白ネギの需要がある、と奥山さんが耳にしたのは5年ほど前。試しに栽培して親交のある料理店主に食べてもらい、「ぜひ使いたい」とお墨付きを得た。
 40~60代の農家で2年前、「百姓の匠」を発足した。全員が青ネギである九条ねぎを生産しているが、白ネギ作りは初めて。「青ネギの栽培経験がほとんど役に立たないほど、育て方が異なる。試行錯誤の連続だった」(奥山会長)。
 久御山町の土壌は柔らかい粘土質で、根を深く張る白ネギに適さない。肥料の配合をゼロから勉強し、土作りから始めた。
 梅雨の時期に種をまき、急速に成長する9月以降は、青ネギでは必要のない土寄せをほぼ毎日行う。収穫のピークは12~2月。根元に近い白い部分は直径3センチほどに育つ。
 一昨年の冬は約8トンを初出荷した。3年目の今シーズンは15トンを見込み、生産量は順調に伸びている。大半を京都市中央卸売市場に出荷し、規格外などは同町森のイオンモール久御山内にある町農産物直売所「旬菜の里」で販売する。
 旬菜の里で2月中旬、巨椋ねぎの試食販売会を2日間開いた。オリーブオイルで焼き、こしょうだけで味付けした計約500食を用意したが、全てなくなった。店頭に並べた2本入りの400セットも完売し、商品価値としての手応えを感じている。
 天ぷらやアヒージョで食べると巨椋ねぎ本来の甘さを堪能でき、焼いても形が崩れにくいため、豚肉や鶏肉と炒めるのにも適するという。「油との相性が抜群。火を加えると甘みがぐっと増す」と奥山さん。
 「巨椋ねぎのおいしさを知ってもらい、関西で白ネギを多く使ってもらいたい」。まずは府内で認知度を高め、食卓に白ネギを使った料理を並べてもらうのが目標だ。