京都アニメーション放火殺人事件を教訓に、防火対策の強化を訴える西野准教授(宇治市・京都大宇治キャンパス)

京都アニメーション放火殺人事件を教訓に、防火対策の強化を訴える西野准教授(宇治市・京都大宇治キャンパス)

 京都アニメーション放火殺人事件から見えてくる防災上の課題をテーマにした調査報告が20日、京都府宇治市の京都大宇治キャンパスであった。発表者は京大防災研究所の西野智研准教授(建築火災安全工学)で、煙の拡散を防ぐ設備が整っていない建物は火災時に死傷者数が多くなるとの試算を示し、事件を教訓に防火対策を強化するよう呼び掛けた。

 西野准教授は現場となった第1スタジオの出火直後の状況について、らせん階段と屋内階段が煙の通り道になってしまい、避難経路には使えなくなったと分析。刺激のある煙がまん延し、社員は目が開けられず歩くことさえ難しかったとし、「2、3階にいた社員のうち階段で1階まで下りて避難した人は1人もいなかった」と説明した。

 階段を伝って煙が広がるのを防ぐとともに、階段を避難経路に使えるようにするには、階段を壁や扉で囲う「竪穴(たてあな)区画」が有効だが、現行法では第1スタジオには設置が義務付けられていなかったと指摘。竪穴区画がない第1スタジオと同規模の事務所は、戸建て住宅に比べて、火災で想定される年間死傷者数が40倍にも上るとの試算を示した。

 「建物は法律に沿って建てられていたが、防火面で弱い部分があり、人的被害の拡大を助長した。放火だから被害は防げないと考えるのでなく、学べる点を整理すべきだ」と強調。竪穴区画に加え、屋外階段や建物を囲うバルコニーを設置する必要性を訴えた。