京都府庁

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京都府立洛南病院(宇治市)

京都府立洛南病院(宇治市)

 重大事件を起こし、心神喪失などで刑事責任を問えない人を治療する「指定入院医療機関」について、京都府の西脇隆俊知事は20日、府立洛南病院(宇治市)での整備に向け、本年度内に住民説明会を開催することを明らかにした。同院は老朽化で建て替えを予定しており、府は基本設計で17床の専用病棟を計画している。設置されれば、指定入院医療機関は府内初となる。

 府議会2月定例会の一般質問に答えた。指定入院医療機関は、近畿には大阪府、奈良県、滋賀県に3カ所(89床)がある。指定機関がない府内の対象患者は、他府県で入院する必要があり、家族との面会や退院後の継続的な治療に課題があった。
 洛南病院は、府内唯一の公立精神科病院として思春期の精神疾患や薬物依存症、認知症などの治療を行う。2006年度には、国の「指定通院医療機関」となり、重大事件を犯して心神喪失などを理由に不起訴や無罪となった人を、外来で受け入れてきた。
 府は、15年に策定した同院の整備基本構想で、診療機能の強化策の一つとして、医療観察法に基づく専用病棟の整備を盛り込んでいた。18年には府の有識者会議が、精神科病院としての治療実績や入院から通院までの一貫した治療の効果などを踏まえ、専用病棟の設置を提言。府は、施設老朽化に伴う再整備計画と併せ、検討を進めてきた。
 同院の建て替え工事は、22年度の開始を見込む。本年度は基本設計を実施し、17床の専用閉鎖入院病棟も盛り込んだ。府は来年度の当初予算案に、より具体的な実施設計に向け、8800万円を計上している。
 西脇知事は、専用病棟の設置は「検討している」と述べるにとどめる一方、病棟の設置に伴う近隣住民の不安解消に向けた取り組みについては、「専門医療の必要性や機能、他府県の病院の状況を丁寧に説明していきたい」と応えた。

≪指定入院医療機関≫
 殺人や放火などの重大事件を起こし、心神喪失などを理由に不起訴や無罪となった人が入院して社会復帰を目指す医療機関。心神喪失者等医療観察法に基づき、厚生労働相が指定する。入退院は、検察官の申し立てを受けた裁判所が判断する。昨年4月時点で、国立や都道府県立の病院など全国で33カ所(833病床)がある。