クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で起きた、新型コロナウイルスによる肺炎の集団感染で、下船した80代の日本人乗客2人が死亡した。国内の死亡者は計3人となった。

 政府は「検疫」を理由に約3700人を船に2週間隔離した。結果として感染者が600人を超える異常事態となり、国内外から批判が相次いでいる。

 高齢者を中心にウイルス検査で陰性と確認された乗客らの下船が始まったが、船内にはなお多くの人が滞在する。

 船内での長期間の隔離が適切だったのか。感染拡大を防ぐため、どのような措置が講じられたのか。しっかり検証するとともに、進行中の事態に柔軟な対応が求められる。

 国立感染症研究所は、乗客の多くは客室待機を始める今月5日より前に感染していたが、待機後も乗客や乗員の感染は続いたとする分析結果を発表した。一部の乗員は船の維持に必要な業務を続け隔離が不十分だったと指摘した。

 5日以降も感染拡大が続いていたのかどうか―。この状況判断が焦点となっている。

 政府は「待機後は感染防止を徹底していた」との立場だ。一方で症状の出ていない人は下船させるべきといった意見もあった。

 一時乗船した感染症専門医が、安全区域の区別ができていないなどと動画投稿サイトで対策の不備を告発した。乗客からも「感染防止はできておらず、対策は間違いだったのではないか」との声が出ている。

 患者のエリアが分けられていたとしても、巨大な船内で3700人もの行動を管理するのは実際には困難だったのではないか。

 水際での感染阻止にこだわり、「隔離ありき」で臨機応変な対応を欠いていた可能性もある。政府の対策が結果的に後手に回ったとの印象は否めない。

 とはいえ、クルーズ船の航海中に感染症が発生した場合の対応は難しく、国際社会でノウハウが確立しているわけでもない。

 検疫の在り方などについて国際的なルールづくりが求められる。途中で下船した香港人男性の感染が1日に判明した後もビュッフェなどを中止しなかった運営会社の対応も問われる。

 各国からは自国民脱出のためのチャーター便運航が相次いだ。今後の対策に生かすためにも、情報を共有し、世界の教訓としなければならない。