柴田彩巴さん

柴田彩巴さん

 店舗の商品棚には色彩豊かなイラスト入りのパッケージが並ぶ。中身は京都産のお茶・玉露。お礼やねぎらい、激励の言葉など多彩なメッセージが記されている。京都ぎょくろのごえん茶チーフディレクターの柴田彩巴さんが発案した。

 贈り手の気持ちを代弁するお茶のノベルティーギフトの企画を手掛け、人気商品に育て上げた。今やオリジナルパッケージは350種以上。アニメとのコラボ商品や切手を貼って郵送できるはがき型、卒業証書のような筒型、今の時期は受験生向けにお守り型がよく売れる。

 テキスタイルの会社に勤め、IT部門を担当していた頃、結婚前に夫の祖父母が営む茶販売店で茶が売れないという悩みを聞いた。そこで「ネットを使い、小ロットの茶をオリジナルパッケージで作れないか」と考えた。

 副業でやってみると問い合わせは多かった。需要を感じて29歳で会社を辞めた。知人と起業したが、小売りは初めて。頑張りすぎて大病を患ってしまう。2カ月入院。死にかけた。「全部自分でやってしまっていた。入院中に支えてくれたスタッフに感謝し、今後は人に任せようと感じるようになった」。

 現在はスタッフ約20人と寺町通周辺の2店舗を営み、自らは新事業開拓、顧客渉外などの業務に取り組む。「仕事を割り振るようになり、社員の士気も上がった」といい、京都商工会議所の「第9回知恵ビジネスプランコンテスト」で認定を受けて、会社の知名度も向上した。

 急須でお茶を入れる人が減り、廃業する茶の小売店は多い。その中で4月には金沢市で店舗をオープンして京都産茶と石川県産茶の販売も計画している。「パッケージは応用できるので、いろんな産地で進めていきたい。全国のお茶を楽しめるような店舗も展開したい」と話す。

 海外では、飛び込み営業で仕掛けた英国のヴィクトリア&アルバート博物館で商品が販売されるようになった。スイスではIOCのオリンピック・ミュージアムにも茶を置いてもらえることになり、「世界一楽しいお茶屋さんへ」とさらなる夢は広がる。

 【しばた・あやは】 上田安子服飾専門学校卒業後、アパレル・繊維業界でIT系を担う会社員として勤務。2015年「京都ぎょくろのどくろ茶」を立ち上げる。独立後、オリジナルのお茶作成サービスをはじめ、自社商品を次々と企画開発。16年5月に店舗を中京区に初オープン。現在「京都ぎょくろのごえん茶」を寺町通界わいで本店、寺町店の2店舗を運営している。宇治市出身。34歳。