2019年11月のグランドスラム大阪大会で相手を攻める芳田司(丸善インテックアリーナ大阪)

2019年11月のグランドスラム大阪大会で相手を攻める芳田司(丸善インテックアリーナ大阪)

 柔道女子57キロ級で東京五輪代表となった芳田司(24)=コマツ、京都市上京区出身=は中学から地元を飛び出し、「柔道留学」で腕を磨いた。神奈川、福岡、東京と古里から遠く離れた地で鍛錬の日々。「毎日の生活を送ることで必死だった」と、体は小柄でも強い負けん気で新たな環境に立ち向かい、五輪金メダル候補へと成長を遂げた。

 母の千代さん(50)の勧めで8歳から自宅に近い円心道場に通い始めた。歴史深い京都の町道場で基礎を身に付け、新町小5年で出場した全国大会で3位に。指導した道場長の山崎立実さん(67)は「試合に出ることよりも柔道の技をしっかり習得することを重んじ、(司は)とにかくまじめに取り組んだ。早くから京都を出たので心配ばかりしていたが、本当に頑張った」と感慨を込める。

 中学は神奈川の相原中へ。強豪校とは知らず見学に行くと、1学年上に田代未来(コマツ、リオデジャネイロ五輪代表)がいた。「すごい選手が集まっているところで一緒に練習できたらいいな」と迷わず進路を決めた。厳しい練習の合間、コンビニの食材で減量メニューを作るなど工夫も重ねた。高校は福岡の敬愛高を選び、3年で全国高校総体を制した。京都府柔道連盟の火箱保之会長(75)は「さまざまな環境に身を置くことで、柔道精神にある自立の心が養われたのではないか。彼女の活躍が、京都の小さな柔道選手の目標にもなる」と喜んだ。

 柔道で京都出身の女子五輪代表は、1992年のバルセロナ大会に出場した小林貴子さん(51)=立命館大女子柔道部監督=以来、28年ぶりの快挙。小林さんは「代表を目指したこの4年間は苦しかったと思う。真面目で一生懸命な頑張り屋。背負い過ぎず、五輪を楽しんでもらいたい」とエールを送った。