新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染拡大が、世界規模で止まらない。

 日本政府は、来月15日までを目安にイベントや公演を自粛するよう関係団体に要請した。

 新型肺炎の発生した中国は、これより先に、来月5日から開く予定だった全国人民代表大会(全人代)の延期を正式に決めた。

 全人代は日本の国会に当たり、毎年の予算案を承認したり、法律を制定したりする。延期は、1985年に3月開催となってから初めてで、極めて異例だ。

 延期の理由は、「感染症をしっかり防ぎ、抑え込む」ためだと強調されている。

 全人代には、全国の省や直轄市などから選出された代表が出席する。多くは地元で新型肺炎への対応に当たっており、そちらを優先させた。

 また、大勢が参加する集会を開くこと自体が、感染リスクを高めかねない。

 感染者と死者は、増え続けている。延期は、やむを得ない措置だといえよう。この際、あらゆる手段を用いて、事態の収束を図ってほしい。

 一方で、延期がもたらす新たな局面も、注視しておきたい。

 全人代では、今後の経済成長率目標が示される。これまでは「年平均6・5%以上」としてきたが、米中貿易摩擦を受けて引き下げるとの見方も出ていた。

 これに新型肺炎の要素が加われば、どうなるのか。目標の設定が先延ばしとなったことで、内外の懸念は増すばかりである。

 全人代の承認を得られないと、予算の執行にも何らかの支障が生じるはずだ。

 例年通りに執行されなければ、国民生活にも波紋が広がり、消費は低迷するだろう。一部で停止状態にある企業活動の再開も、遅れてしまいそうだ。

 中国国内にとどまらず、世界経済の不安定要因となる。市場は、すでに反応している。

 懸念をさらに募らせるのは、延期となった全人代の開催日程が、未定ということだ。

 感染の終息が見通せないためだが、習近平国家主席ら指導部は、重要政治日程の変更を迫られる。責任も問われよう。

 4月上旬を軸に調整がされてきた習氏の訪日を、予定通りに実現するのは、微妙な情勢となったのではないか。

 国際政治への影響も、しっかりと見定めておくべきだ。