2018年に日本を訪れた外国人旅行者数が初めて3千万人を超えた。最終的には3100万人程度に達するようだ。

 外国人旅行者の増加は、京都にいれば誰もが実感することである。世界から多くの人が日本を訪れることはうれしいことだが、京都など特定地域への集中が想定外の問題を引き起こしていることも直視したい。

 政府は東京五輪・パラリンピック開催の20年に4千万人の目標を掲げるが、滞在先の分散など、受け入れ体制の見直しを急ぐべきだ。

 訪日外国人が初めて1千万人を突破したのは13年で、円安が進んだことや訪日ビザの発給要件緩和などがきっかけだった。

 それからわずか5年で2千万人も増えた。中国や韓国、台湾からの訪日客が7割を超えるが、中間層が増加しているタイなど東南アジア地域からも着実に増えている。個人旅行や再来日の増加も、全体の押し上げにつながっている。

 ただ、行き先は東京や京都、大阪を中心とする「ゴールデンルート」や大都市圏への偏りが相変わらず目立つ。

 各地で誘致策が熱心に展開されているが、魅力を世界に伝えるのは簡単ではない。それぞれの地域に眠る歴史的、文化的資産をアピールする努力が必要だ。点を線にするには交通手段の充実など、政策的な後押しも欠かせない。

 一方、大都市では公共交通の慢性的な混雑やホテル需要に伴う地価高騰が起きている。

 京都新聞社の調査では、京都市のホテル部屋数は20年までに京都市が必要と試算した4万室を既に超え、5万室を上回る見通しだ。「お宿バブル」ともいえる状況で地価は高騰し、市中心部からの住民流出も起きている。

 京都市は高級ホテルを中心に今後も誘致を続ける姿勢だが、いずれ供給過剰にならないか。将来が心配だ。

 観光客の偏りは世界各地で問題になっている。スペインのバルセロナ市ではアパートの平均家賃が3年間で約28%上がり、市中心部の人口が2割減少した。観光反対のデモまで起きる事態という。

 市民が平穏な暮らしを続けてこそ、観光地の魅力が保たれるのではないか。

 訪日客数の達成が目的になっては本末転倒だ。それぞれの地域事情に合わせた持続可能な観光政策を進める必要がある。