保釈中の逃走を、どう防止するか。法の整備を、森雅子法相が法制審議会に諮問した。

 カルロス・ゴーン被告だけでなく、保釈された被告が逃走する事件が相次いだのを受けて、新たな保釈制度に向けて議論が求められている。

 裁判所の保釈許可が増えていることへの批判も聞こえるが、こうした流れを止めることはできない。否認すれば保釈が認められず、長期勾留で自白を迫る「人質司法」に、海外から厳しい目が向けられてもいる。

 保釈のあり方だけでなく、「人質司法」をなくすことにつながる議論を期待したい。

 法制審議会で検討されるのは、保釈中の被告が逃走した時の罰則や、二審判決への出廷義務、衛星利用測位システム(GPS)の装着などだ。

 昨年は、神奈川県で保釈後に実刑が確定した被告が出頭要請を拒否して逃走するなど、保釈中の事件が住民らを不安にさせた。逃走や出廷拒否などで保釈を取り消された被告は、2018年で127人に上り、09年より3倍超も増えていることも見過ごせない。

 逃げ得は許されない、という法的姿勢を示す必要があろう。

 議論を呼びそうなのは、GPSの身体装着の是非だ。ゴーン被告の海外逃亡で、改めてGPSによる行動監視を求める声が高まった。欧米ではすでに使われており、カナダでは中国通信大手ファーウェイ幹部の被告を、装着したGPSで監視し続けている。

 しかし、プライバシーや人権を侵害しないか懸念もある。慎重に検討してもらいたい。

 そもそも保釈は、被告や弁護人が申請し、裁判所は逃亡や証拠隠滅の恐れなどがない限り、許可するのが法律上の決まりだ。罰則や監視が強化されれば、保釈後の逃走や証拠隠滅がしにくくなるので、保釈許可は出やすくなるかもしれない。

 裁判員裁判が始まって、保釈率は少しずつ上昇し、18年には32・1%になった。裁判員裁判の充実のため、被告と弁護人の打ち合わせ時間を十分に確保すべき、との裁判官の思いもあるようだ。

 これまで否認すれば保釈は認められないことが多かった。IR汚職事件の被告、秋元司衆院議員は否認のまま保釈されたが、単に異例というより、司法の変化の表れではないか。

 保釈後に逃走や証拠隠滅ができない環境をつくることで、ゆがんだ長期勾留をなくす一歩になる。