完成した釈迦如来像のそばに立つ仏師の三浦さん(京都市上京区・土御門仏所)

完成した釈迦如来像のそばに立つ仏師の三浦さん(京都市上京区・土御門仏所)

 東日本大震災による津波で本堂が流失するなど大きな被害を受けた岩手県大槌町の寺に奉納される仏像が、京都と埼玉の仏師の手でこのほど完成した。震災が発生した3月11日に大槌町の寺で本尊として開眼法要が営まれる予定。仏像は現在、京都の仏師の工房で公開されており、間近に拝むことができる。

 仏像は総高170センチの釈迦(しゃか)如来像で、木曽ヒノキの寄せ木造り。着色していない白木を主にした座像で、後背や衣の部分に截金(きりかね)が施されている。
 奉納先は大槌町中心部にある曹洞(そうとう)宗寺院、江岸寺。同寺は津波で本堂や庫裏、山門などが流失した。大萱生(おおがゆう)良寛住職(61)の父や長男をはじめ、多くの檀家も犠牲となった。
 東北の支援を何かしたいと考えていた埼玉県白岡市の仏師加藤巍山さん(51)が、寺の再建に貢献しようと全国の仏師たちに仏像奉納のための協力を呼び掛けた。京都市上京区の仏師三浦耀山(ようざん)さん(46)と大阪府吹田市の截金師鷲尾美陽子さん(37)がこれに応じた。
 2011年初夏から作業を開始。関東と関西では仏像の造り方が異なるため、三浦さんが実物4分の1の大きさの原型を制作し、さらに実物と同じ大きさのモデル像を加藤さんが造るという、通常の倍の時間をかけて息を合わせながら進めた。18年春には、加藤さんが京都に約2カ月間滞在して大詰めの作業を行い、さらに鷲尾さんが截金を施した。2月下旬に完成した。
 東日本大震災の起こった3月11日に同寺に奉納され、開眼供養が営まれる予定。加藤さんは「亡くなった方のみ霊を鎮めるとともに、寺の檀家のみなさんに寄り添う仏様を届けたい」と語る。
 三浦さんは「一人でも多くの人に拝んでもらい、仏様と縁を結んでもらいたい」と呼び掛ける。