米国とアフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが和平合意に署名した。

 米国は135日以内に約1万3千人の駐留米軍を8600人に減らし、タリバン側がテロ組織と協力しないなどの約束を守れば、14カ月以内に同盟国とともに駐留軍を完全撤退させるとした。

 トランプ米大統領は11月の大統領選をにらみ、外交成果としてアピールすると見られるが、米国の関与が弱まることで、タリバンが再び武力に訴える恐れもある。

 今後、タリバンがアフガン政府などと進める和解協議は、国内政治の対立激化で難航が予想されている。米軍撤退がアフガンの安定や和平につながるかは、不透明と言わざるを得ない。

 アフガンでは2001年の米中枢同時テロ後、米軍などの攻撃でタリバン政権が崩壊した。タリバンはその後も「正統な統治者」を自任し、隣国のパキスタンに活動拠点を移して戦闘やテロを続けてきた。同年からの軍事作戦で死亡した米兵は約2400人に上るという。

 アフガン政府を「欧米諸国のかいらい」と非難するタリバンにとっては、米軍の撤退が優先事項であり、大統領選に向けて在外米軍縮小の「成果」を急ぎたいトランプ氏と思惑が一致したことが今回の合意につながったと言えよう。

 だが、アフガン国内の情勢は、撤退できる状況にあるとは到底言えまい。

 治安権限が外国部隊からアフガン政府に移された14年ごろから、タリバンは国内での勢力を盛り返しているとされる。国連によると、国際テロ組織アルカイダとも資金提供や訓練などで関係を保ち続けているという。米軍が去り、タリバンが勢力を急拡大させることにならないか、懸念される。

 アフガン政治も混迷している。

 先月の大統領選で現職のガニ氏が再選されたが、政権ナンバー2のアブドラ行政長官が勝手に政権樹立を宣言し、対立が深刻化している。タリバンとの協議を前に、内政が混乱しかねない状況が続いている。

 国連アフガン支援団によると、昨年1~9月に戦闘などで民間人8200人以上が死傷し、その6割超がタリバンなど武装勢力の被害に遭ったとされている。

 米議会では与党共和党内にも米軍撤退に慎重論が根強い。地域のパワーバランスが崩れ、テロの拡大を招く恐れがあることを認識すべきだ。