ファンの声援がないと、盛り上がりを欠くのではないか。

 そんな思いが根強い中、日本相撲協会が、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染拡大を受けて、8日から大阪市内で始まる大相撲春場所を、無観客で開催すると決めた。

 観客のまったくいない会場で本場所を実施するのは初めてで、極めて異例の事態である。

 政府の専門家会議は、人が集まり風通しの悪いところに行かないよう、呼び掛けている。気付かないうちに、感染を拡大させる恐れがあるからだ。

 ファンが押し寄せ、満員の大相撲本場所は、若者らが集まるライブハウスやクラブなどと同様の状態になる。

 無観客開催は、さらなる感染拡大を回避するために、やむを得ない措置といえよう。

 八百長問題に揺れた2011年の春場所は、実施されなかった。感染リスクをゼロにしたいのなら、開催を中止するという選択肢もあったのではないか。

 新型肺炎の影響を受けたスポーツ、芸能のイベントの中では、観客の反応が不可欠な演芸や、ゴルフ、バレーボールなどが中止となった。

 一方で、中央競馬、プロ野球のオープン戦、ファッションショーの一部は、無観客開催を選択した。いずれも、放送や通信で楽しむファンが多い。

 大相撲は、これに倣ったようだ。国技といわれるだけに、全国のファンのためとする開催理由については、うなずける。

 ただ、無観客開催にしたからといって、感染リスクがまったくなくなるわけではない。

 本場所では、相撲を取る力士はもちろん、行司や呼び出し、審判を務める親方らが、土俵とその周辺に集まる。稽古場でも大勢の力士が、裸でぶつかり合う。

 リスクは、どこにでもありそうだ。油断をしてはならない。

 医療の専門家のアドバイスを受け、関係者の健康管理を万全なものにして臨んでもらいたい。

 協会は、力士に感染者が出た場合は、本場所を中止する方針を示している。その際は、「待ったなし」に決断すべきだろう。

 プロ野球とサッカーJリーグは共同で、新型肺炎の対策連絡会議を設置する。同じプロスポーツの団体が、競技の枠を越えて連携するのは有意義なことだ。

 日本相撲協会も、この会議と情報交換してみてはどうか。