西村さんが前回東京五輪の聖火リレーを撮影した写真。平安神宮の大鳥居をバックにランナーたちや群衆が撮影されている

西村さんが前回東京五輪の聖火リレーを撮影した写真。平安神宮の大鳥居をバックにランナーたちや群衆が撮影されている

 1964年の前回東京五輪で、京都市左京区の平安神宮前を通過する聖火リレーを自ら撮影したカラー写真を、「人生最高の写真」と大事に保管しているアマチュアカメラマンがいる。当時、電電公社(現NTT)に勤めていた男性は、カメラを手に電柱に登り、秋空の下を走るランナーを写真に収めたという。

 神戸市の西村隆男さん(77)。西村さんは1964年当時、電電公社の入社2年目で下京区の実家に住んでいた。就職を機に念願だったカメラを購入した。
 64年9月29日、普段から仕事で電柱に登っていた西村さんは走者が平安神宮前を通過する時間に合わせ、ヘルメットをかぶり、命綱をして神宮道通仁王門の交差点にある電柱に登った。群衆の前に先導車が現れると夢中でシャッターを切った。トーチを掲げたランナーや伴走者が大鳥居をバックに神宮道を駆け抜ける姿を4枚ほど撮影できた。
 前回東京五輪で西村さんは閉会式の入場券を入手しようとしたが、抽選で外れた。母親の故登記さんは「東洋の魔女」と呼ばれた女子バレーボール日本代表チームの試合の観戦を果たし、「涙が出るほど感激した」と話したという。
 西村さんは半世紀以上写真を趣味にし、京都の街並みの今昔を写真で見比べられるホームページを開設しているが、「あの日の写真が最高」と振り返る。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、今回東京五輪の聖火リレーは一部行事で規模縮小がとりざたされているが、西村さんは「できることなら今回も撮影したい」と話す。