予約した簡易宿所に向かって鴨川沿いを歩く中国人観光客の家族連れ(京都市下京区)

予約した簡易宿所に向かって鴨川沿いを歩く中国人観光客の家族連れ(京都市下京区)

京都市で旅館業の認可を受けた簡易宿所の推移

京都市で旅館業の認可を受けた簡易宿所の推移

 ゲストハウスなどの簡易宿所の廃業が京都市内で相次いでいることが、明らかになった。訪日観光客の増加による宿泊ニーズの拡大で開業ラッシュが続き、供給量が一気に増えたことによる競争激化が大きな要因だ。膨張を続けてきた京都の「お宿バブル」は、訪日客数がピークを迎えるとされる2020年を前に早くも曲がり角に差し掛かっている。

 「簡易宿所の運営が厳しくなってきた」

 10年近くにわたり京都市内で宿泊施設を開発してきた地元企業の関係者は、そう打ち明ける。宿泊市場への参入業者が増えたのが要因で、中でも交通利便性に劣る物件で稼働率の低下が目立つという。「簡易宿所の開発は今後も続けるが、上京区や右京区など立地条件の良くないところはやらない」と話す。

 市内で営業する簡易宿所の客室数は17年度末で9247室に上り、14年度からの4年間で3倍以上に増えた。観光客数に対して市内は宿泊施設が不足しているとされ、ビジネスチャンスを見込んだ不動産会社や建設会社、投資家などが開発資金を投じたためだ。宿所の開業に適した町家や土地が高額で取引された結果、今年の公示地価で京都府の商業地の上昇率が全国1位となる一因にもなった。

 だが、宿不足は過去のものになりつつある。観光庁の調査によると、府内の簡易宿所の稼働率は15年で36・4%だったが、16年は28・5%、17年は32・4%にとどまった。市内ではホテルの建設も盛んに行われており、京都新聞社の調査では市内の客室数は20年に5万室を超える見通しだ。「供給過多」を指摘する声は高まっている。

 宿泊施設の運営受託会社ジャパンホテルマネジメント(下京区)の田中和彦取締役は「民泊新法の施行に伴い、民泊紹介サイトが旅館業許可のない物件の掲載を取りやめたため、簡易宿所の中には宿泊客が増えたところもある。一方で、立地や設備に特徴のない施設は閑散期に稼働率を下げたと聞く。宿泊施設が加速度的に増えているため、今は勝ち組でも先行きは戦々恐々だ」と打ち明ける。

 簡易宿所の営業にとってさらに逆風となるのが、京都市が条例で定めた駆け付け要件だ。宿泊客と近隣住民とのトラブルなどに対応できるよう、施設から800メートル以内でのスタッフ配置が義務づけられた。既存施設は20年3月末までに要件を満たす必要があり、コスト増につながることから廃業が増えるとの見方がある。

 京都簡易宿所・民泊協会(下京区)の副会長を務める八清(同区)の西村孝平社長は「ゲストハウスの売り物件が増えているが、買い手もついている。良い運営会社がついている施設は収益を上げられる。今後は立地や運営の良しあし、設備で施設の選別が進むだろう」と予想する。