哲平さんのたん吸引をする奥山さん。昼夜を問わず行う必要があり、手軽に手指が消毒できるハンドジェルなどは必需品となっている(木津川市加茂町)=奥山さん提供

哲平さんのたん吸引をする奥山さん。昼夜を問わず行う必要があり、手軽に手指が消毒できるハンドジェルなどは必需品となっている(木津川市加茂町)=奥山さん提供

手指の消毒用品などが品切れ状態となっている商業施設の陳列棚(3月4日、木津川市城山台)

手指の消毒用品などが品切れ状態となっている商業施設の陳列棚(3月4日、木津川市城山台)

 新型コロナウイルスの感染拡大で、京都府内の小売店でも手指の消毒用品の品切れが続き、日常的に医療行為の援助が必要な「医療的ケア児」の保護者に不安が広がっている。たん吸引を行う際などの必需品で、府内の支援学校が休校となったこともあり、自宅での使用頻度が増えている。保護者は「あらゆる感染症のリスクが高まり、命に関わることもある。全国に同じように困っている保護者がいる。消毒用品を支給してもらえないか」と望んでいる。

 京都府木津川市加茂町の奥山梨衣さん(41)の長男哲平さん(13)は、成長・発達障害などの症状が出る指定難病「CFC症候群」で、日常に全介助が必要だ。気管切開しており、1日100回を超えることもあるたん吸引は毎回、家族が手指を消毒してから行う。難治性てんかんとクローン病も患っており、風邪をひくと症状が悪化する恐れがあるため、とりわけ冬場は丁寧な消毒を心掛けているという。

 最後に消毒用ハンドジェルを購入したのは1月下旬。「何年も買い続けているけど、品薄になったことはなかった。まさか無くなるとは思ってもみなかった」。2月に入り、品切れに気付いた。ドラッグストアだけでなく、ホームセンターやスーパー、コンビニにも何度も足を運んだが店頭になく、インターネット販売も品切れか価格が高騰しているという。

 同市内の複数のドラッグストアによると、消毒用品は完売状態で2週間ほど入荷がない。除菌シートなども品薄で、代用品として傷の消毒液やアルコール入りの眼鏡拭きまで買い求める人がいるという。

 哲平さんが通う京都府立南山城支援学校(京都府精華町)は3日から15日まで休校になった。福祉事業所を利用する日もあるが、自宅で過ごす時間が増え、消毒用品の消費は増えている。自宅の備蓄は300ミリリットル入り消毒用ハンドジェル1本だけ。通常なら1カ月半ほどで使い切ってしまうという。

 会員制交流サイト(SNS)で悩みを発信したところ、同じ境遇の保護者から「うちも買い置きが尽きかけている」といった不安の声が多く届いたという。奥山さんは「妊婦や高齢者と同じく、医療的ケア児もリスクが高い。困っていることを知ってもらい、何とか手だてを打ってもらえたら」と願っている。