米大統領選の民主党候補指名争いで14州の予備選が集中する「スーパーチューズデー」は、中道候補一本化の流れを追い風にしたバイデン前副大統領が10州で勝利を収めた。

 これまで優位だった左派サンダース上院議員は3州で勝利したほか、最大票田のカリフォルニア州でリードしている。

 共和党のトランプ大統領は「米国第一」を掲げて国の姿を変えつつある。民主党には単なるトランプ批判を超える対抗軸を打ち出せるかどうかが問われている。

 混戦から一転し、バイデン氏とサンダース氏の「2強対決」が鮮明になった。指名争いの長期化も予想され、11月の本選前に党内分断が一層深まる可能性もある。

 バイデン氏の支持率は低迷していたが、ブティジェッジ前サウスベンド市長ら撤退した中道候補から相次いで支持表明を受け、勢いを取り戻した。

 革新的な主張を掲げるサンダース氏では、穏健派も含む幅広い層の支持が得られず、トランプ氏に勝てない―。民主党主流派にはそんな懸念が根強いという。

 トランプ政権下で反移民、人種差別、不寛容といった負の側面が増幅されている。再選を許せば、この姿勢がお墨付きを得たとも取られかねない。

 安定や党内融和を求める人々がバイデン氏の実績と穏健さを再評価した形だ。だが、オバマ時代に戻るかのような「後ろ向き」の姿勢との批判もある。

 「現政権に負けない」というだけでなく、どんな米国にしようというのか、もっと明確な主張を打ち出すべきではないか。

 一方のサンダース氏は国民皆保険や大学無償化などを訴え、若者から絶大な支持を受けている。

 政策は実現可能性に欠けるとも言われるが、格差拡大など米国の矛盾に怒り苦しむ人々の声に応えたものだ。もともと共和党の「非主流派」だったトランプ氏が支持を集めたのと、同じような背景がある。

 サンダース氏に妥協の気配はない。「打倒トランプにはエネルギーに満ちた草の根運動を広げ、投票率を上げることが唯一の方法だ」と訴える。

 米社会の変容が、政党内部や選挙戦のありようにも影響をもたらしているのは間違いない。

 とはいえ米国が向き合わなくてはならないのは、内政課題にとどまらない。多極化した世界の中でどんな国家像を目指すのか、前向きの議論を望みたい。