「私たちを責めないでください」。京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」のLINEに、京都市内のドラッグストアに勤める50代の女性から、そんな悲痛なメッセージが寄せられた。マスクの在庫がないのに「本当はあるんじゃないの?」と来店客に疑われたり、トイレットペーパーの購入個数を制限すると「何でだ」と問い詰められたりして、従業員が疲れ切っているという。取材に応じた女性は「店内が殺伐としている」と職場の厳しい実情を語った。

 女性はパート従業員。勤務先の店舗は、常連客と従業員が日常的に会話を交わすアットホームな雰囲気といい、女性は仕事にやりがいを感じていた。
 異変が起きたのは中国での新型コロナウイルスの感染拡大が報じられ始めたころ。マスクの売れ行きが伸びたかと思うと、あっという間に品切れになった。
 
 女性は「マスクは入荷未定と掲示していても、『まだ入らないのか』と尋ねる客がおり、そのたびに『申し訳ありません』と謝っている。そんな自分の姿を夢に見るくらい。客に『本当はあるのにうそをついているんだろう』と疑われた同僚もいる」と嘆く。
 
 マスクだけでなく、消毒用ジェルやエタノール、ガーゼなども次々と品不足に。2月末には紙製品がなくなるというデマが広がった影響で、トイレットペーパーやおむつ、ティッシュペーパーの買い占め行動が目立つようになった。ほどなくして、女性の勤める店は「1家族に一つ」という購入制限に踏み切った。

 「商品を多くの人に行き渡らせるためなのに、『何でなんだ』と不満を言われる。既に1個買っておきながら、違うレジに並んで買い増そうとする人もいる」
 
 政府が要請した臨時休校の影響か、ここ数日は即席麺や冷凍食品などをまとめ買いする人が増えた。そのたびに商品補充のため倉庫と行き来するため、肉体的な負担も増えたという。女性は「新型コロナウイルスの感染がいつ終息するのか。先行きが見えないので不安ばかりが募る」とため息をつく。
 
 紙製品は在庫があるため店頭の品不足は徐々に解消される見込みだが、同様の買い占め騒動は今後も起こり得る。「自分だけが良ければいいという人が多いと、妊婦やお年寄りなど、切実に商品を必要とする人に物が行き渡らなくなる。根拠不明の情報を簡単に信じてしまうのも問題。一歩立ち止まり、正しい情報かどうか見極めてほしい」。女性は強い口調でそう語った。