もっと早く決断しておくべきだったのではないか。

 新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染拡大に対処するため、4月に予定されていた習近平・中国国家主席の国賓としての来日を延期したことだ。

 日中両政府が、一昨日になって発表した。東京五輪・パラリンピック後の秋以降で、日程を再調整する方針という。

 国賓として来日すれば、胡錦濤氏以来、約12年ぶりとなる。沖縄県・尖閣諸島を巡る問題を受けて悪化した両国関係が、改善に向けて軌道に乗る様子を、内外に示すことができただろう。

 延期だけを捉えると、大変残念ではある。

 しかし、新型肺炎の感染拡大は続いており、終息のめどが立っていない。

 感染の拡大防止を最優先する必要があるとの考えで、両国が一致したのだから、延期するのはやむを得ない。

 ただ、この時期まで判断を先延ばししてきたことには、異議がありそうだ。

 中国・武漢で生じた肺炎が、新型コロナウイルスによるものと確認されたのは、1月はじめのことである。

 その後、世界保健機関(WHO)が緊急事態を宣言し、さらに危険性の評価レベルを引き上げたにもかかわらず、来日の予定に変わりはなかった。

 感染拡大の影響で、中国は今月5日から始まるはずだった全国人民代表大会(全人代)の延期を決めた。来日に向けた両国政府の準備も、十分ではない。

 外交成果を上げるのが、難しい状況になっていた。

 習氏を招いた日本側から、延期を申し出るわけにはいかないとの事情もあろうが、決断は遅すぎたといえそうだ。

 延期が決まったのと同じ日、日本政府は、中国、韓国から日本に人が入国する際の制限を強化すると表明した。

 経済活動や観光業にとって大きな打撃とはなるが、感染防止の水際対策として必要であると指摘されていたのに、これも先延ばしになっていた。

 政府は否定するが、習氏の来日を重視するなら、中国からの入国制限を強化するのは難しいと考えた、との見方がある。

 来日延期が決まると間を置かずに踏み切ったとあっては、そう受け止められよう。今、何を最優先すべきか、忘れてはならない。