新型コロナウイルスの感染が世界規模で拡大している。どこで感染したのかはっきりしない患者が相次ぎ、入国を制限したり、学校を閉鎖したりと、各国が目に見えないウイルスの封じ込めに苦心している▼ウイルスほどの小ささではないが、インド洋の沿岸部では今、体長5センチほどのバッタが国の存在を脅かしている。群れをなして農地に飛来し、作物を食い尽くしていくのだという▼約4千万匹の群れが1日に食べる作物は、3万5千人分の食料に相当するそうだ。一帯で大量繁殖したバッタは数千億匹とも言われ、深刻な食料難に陥る可能性があると指摘されている▼特にアフリカ東部では被害が著しく、ソマリア政府は国家非常事態を宣言したが、駆除などの対策は難航しているという。バッタの飛来予測が難しく、封じ込めの決定打がないようだ▼新型コロナウイルスでも、これまでのところ各国の対策に決定打はない。行政の権限を強めて私権を制限する措置も検討されているが、人権制約の強い副作用がある。国民が納得できる説明を怠ってはならない▼バッタの害は「蝗害(こうがい)」と書く。「蝗」の成り立ちには、皇帝の存亡に関わるほどの害をもたらしたため、との説がある。危機対応が国の浮沈を左右しかねないことを、為政者は肝に銘じてほしい。