odd eyesのライブを見たあの日から、それまで「なんとなく」ぐらいだった音楽をやりたい、バンドをやりたい、という気持ちがむくむくと起き上がってくるのを感じた。

 海外のアーティストや大きな規模のバンドのライブでは感じることがなかった、自分が住んでいる町の、毎日の生活の中、自転車で行ける距離にある格好良さのようなものを初めて味わったような気がした。

 odd eyesのブログで紹介されているレコードを探しにいったり、ブックオフの500円コーナーでK recordsのCDを探したりするようになった。これまでと同じようにメトロに遊びに行き、月に一度の感染ライブにも必ず行くようになった。

 odd eyesは毎回全然違う曲を演奏しているように見えた。毎回めちゃくちゃ格好良くて、なにもしていない自分が悔しくてイベントの途中で帰ってしまったこともあった。頭の中で鳴っている音楽は、そこから取り出した途端、自分の手からこぼれ落ちるように消えていってしまい、ひとつだって形にはならなかった。

 そんなふうに半年を過ごして、新しい春になった。僕は部活で気が合う先輩や友達に声をかけて新しいバンドを組んだ。