少年法の適用年齢を現行の20歳未満から18歳未満へ引き下げることの是非を巡り、国の審議会の議論が行き詰まっている。

 法相が2017年に法制審議会に諮問したのは適用年齢の引き下げと事件を起こした18歳、19歳の刑事手続きの在り方だ。

 政府は、22年4月から成人年齢を18歳に引き下げる民法の改正と合わせるべき、とする。だが、処罰より教育と更生を重視する少年法の規定から18歳と19歳を外していいのか、という点で対立が続いている。

 公明党は少年法の精神を重視する立場から引き下げに反対している。政府は今国会への改正法案提出を見送る方針だ。

 そもそも法務省や法制審委員は、現行の少年法は少年の更生や非行防止に十分に機能している、との共通認識に立つ。現行法の内容ではなく、適用年齢だけを民法に合わせる「結論ありき」が行き詰まりの原因だ。

 少年法は原則として全ての少年事件を家裁に送致し、成育歴や家庭環境、交友関係などを調べ、立ち直りと社会復帰に適した処分を決める。処分は起こした事件の重大さに左右されず、少年院での教育や保護観察などにより社会復帰につなげる。

 その有効性は再犯率に表れている。13年の法務省調査では、少年院から出た18歳以上の再犯率12%に対し、20~25歳の刑務所出身者は約30%だった。

 適用年齢引き下げのため法務省が最初に示した改正案は、18歳と19歳の事件について検察が処分を決め、起訴猶予の事件だけを家裁に送る内容だった。

 これでは起訴されると更生の機会を逸してしまう可能性があるとの意見があり、審議会は合意に至らなかった。

 そこで法務省が昨年末に示した二つの案は、全ての18歳、19歳の事件を家裁に送る-などが柱で、現行法と何が違うのか分かりにくい内容だった。

 年齢を引き下げるためだけの妥協案にしか見えない。

 少年犯罪の摘発件数はここ数年、一貫して減り続けている。

 刑法犯全体の起訴率は4割にとどまる。適用年齢を引き下げれば、軽い犯罪は起訴猶予や不起訴となり、家庭などに問題があっても教育されないまま社会復帰してしまう可能性もある。

 適用年齢引き下げには、日弁連が反対決議を出したほか、家裁調査官や少年院長などの経験者や少年にかかわる専門家団体も反対を表明している。

 医療や福祉、司法などの専門家でつくる日本子ども虐待防止学会も「18歳、19歳は脳が成熟する過程で、教育的な働きかけが効果を期待できる」とする。

 一方で、少年事件の被害者や家族からは、年齢引き下げや厳罰化を望む声のほか、少年院などでの教育を不十分だとする指摘が出ている。少年法も刑罰対象を16歳以上から14歳以上にするなど、厳罰化も進んでいる。

 飲酒や喫煙、公営ギャンブルは今後も20歳未満禁止である。それぞれの法律で年齢の線引きが異なっている意味を再考し、更生の在り方についての議論を深めるべきではないか。