道なき道を切り開くのは並大抵のことではない。30世帯が暮らす綾部市星原町で、住民たちの手で古道を車が通れる避難路に再生したのは2018年秋のことである▼きっかけは西日本豪雨だった。山あいの集落は至る所で浸水し、土砂崩れで生活道が寸断された。立ち上がったのは住民有志7人でつくる団体「アクトスター」である▼山のふもとにある古道は人も通れない。草刈り、木の伐採…。住民総出で力を合わせた。重機で切り開き、砕石を敷き詰めた。「村のみんながついてきてくれた。うれしかった」と今井逸郎代表(77)▼それまでは大雨でも避難の習慣はなかった。災害への危機感を共有し、砂防学の専門家と集落をくまなく歩き、ドローンの空撮で危険箇所を洗い出した。メンバー2人が防災士の資格を取得し、避難体験や研修会を重ねている。「まず逃げる。とにかく命を守ろう」と呼び掛ける▼今冬、全国46の地方新聞と共同通信でつくる「地域再生大賞」のブロック賞に選ばれた。命を守ることはふるさとを守ることにつながる。その思いが活動の原動力なのだろう▼東日本大震災から9年。自然災害の脅威は年々高まる。いざという時には地域の備えが鍵を握る。アクトスターの行動力と先進性は、地域防災の新たな道を開拓している。