久御山町に住む65歳以上の高齢者や妊産婦に郵送するため、作業を進める町職員たち(同町役場)

久御山町に住む65歳以上の高齢者や妊産婦に郵送するため、作業を進める町職員たち(同町役場)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴ってマスクが品薄になる中、京都府の山城地域の自治体で、備蓄するマスクの活用方針が分かれている。住民への配布を始める町がある一方、医療機関などへの提供を見込んで放出に慎重な市もある。自治体もマスクを追加購入するめどが立たず、備蓄の活用法に頭を悩ませている。


 久御山町は9日朝、町内の65歳以上と妊産婦計約5千人に、マスクを5枚ずつ郵送することを決めた。自然災害に備えて確保した約5万3千枚のうち約2万5千枚を提供。町は「重症化の可能性が高いとされる高齢者と健康面により配慮が必要な妊産婦に配る」とし、午後から職員約40人が小分けにする作業を急いだ。
 笠置町も全児童に10枚ずつ、全町民に5枚ずつの計7220枚を2日から配布した。残る備蓄は8万3千枚で、町は「感染拡大の状況などを踏まえ、今後の対応を考えたい」。
 和束町も先月、小中学校や保育所に約4600枚、妊婦がいる8世帯にも各50枚を届けた。
 一方、市民へのマスク配布を予定しない市も多い。京田辺市は約18万枚のうち、約1万6千枚を保育園や放課後児童クラブなどへ配布した。約16万枚を残すが、市は「購入できる見込みがなく、今後どれくらい必要になるかを検討している状況」と説明。「今のところ、マスク使用は症状のある人が飛沫(ひまつ)を防ぐのが主体。医療機関も(在庫が)厳しいと聞いている」として温存する方針だ。
 八幡市は約1万5千枚を高齢者福祉施設や保育所などへ提供し、現在の備蓄は約4万5千枚。市議会では「ドラッグストアに並んで買える人はまだ体力がある。本当に困っている人は並べない」(亀田優子市議)と基礎疾患がある人や妊産婦への配布検討を求める質問も出た。市は「医療機関、障害者施設からも要望がある。今後を考えると(市民への提供は)難しい」と理解を求めた。
 宇治市は当初から備蓄が少なく、2月上旬から買い集めて計約4万枚を確保した。だが、窓口の担当者や保育士、救急隊員などへ配布し5日時点の残りは約8千枚。市民に回せる余裕はなく、「早く市中に出回ってほしい」と焦りをにじませた。
 城陽市は災害時のマスク備蓄がなく、消防や福祉部局が業務分を確保しているのみという。市は「手に入らない状況が続けば、業務に支障が出る恐れもある」と危機感を強めている。