政府が新型インフルエンザ等対策特別措置法の適用対象に新型コロナウイルス感染症を追加する方針について、憲法の研究者や弁護士らが9日、東京都内で記者会見し、特措法にある「緊急事態宣言」について、歯止めのない首相への権力の集中や報道の自由の制限をもたらす可能性がある制度の追認につながるとして反対する声明を公表した。

 憲法や言論法の研究で知られる右崎正博・獨協大名誉教授や田島泰彦、元上智大教授と、元日弁連会長の宇都宮健児氏ら10人。特措法では、首相が緊急事態宣言を発すると最長3年間、外出自粛や多くの人が集まる施設の使用を制限できる。臨時医療施設のために土地建物の強制使用も可能になる。

 右崎氏らは「緊急事態を宣言する要件が明確でなく、具体的なことは政府が自由にできる政令に委ねている」と指摘。「国会の事後承認すらなく、行政権への権力の集中を引き起こす」と指摘した。また、NHKなどに政府が指示を出す仕組みがあることについて「報道の独立が確保されず、重要な情報が伝えられない可能性がある」と訴えた。

 宇都宮氏は「特措法は民主党政権時代に成立したが、批判があり、非常事態宣言が出されたことはない。必要なのは情報公開で、特措法改正で情報公開に後ろ向きな安倍晋三政権にお墨付きを与える必要はない」と話した。

 日本科学者会議京都支部幹事会と京都社会保障推進協議会も8日、反対声明を発表した。
同京都支部幹事会は「特措法に基づく措置を新型コロナ対策に適用しており、立法事由そのものがなくなっている」と指摘。「外出の自粛、学校など公共施設の使用制限が容易に可能となり、政府により過剰に恣意的に運用される恐れがある」とし、「法改正の前にPCR検査をきちんとすべきだ」とした。京都社会保障推進協議会は「休校による子供たちへの影響や雇用、地域経済など国民生活へのきめ細かな対応や、医療機関へのマスクなどの供給確保に全力をあげるべき」と強調。有事であることを理由に政府の政策批判を封じ込める主張が散見されるとして、危機感を示した。