新型コロナウイルス感染拡大の影響で閑散とする宇治橋通。「これまでは観光客や車が多く行き交っていたのに」と、ある商店の人は言う(宇治市宇治)

新型コロナウイルス感染拡大の影響で閑散とする宇治橋通。「これまでは観光客や車が多く行き交っていたのに」と、ある商店の人は言う(宇治市宇治)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府がイベントの開催自粛や学校の臨時休校を要請して2週間たち、地域の小規模店に影響が広がっている。JR宇治駅や平等院に近く、京都府宇治市を代表する商店街がある宇治橋通は抹茶スイーツを楽しめる店などが人気で、これまで中国人観光客の姿も目立ち盛況だったが、周辺住民やなじみ客向けの地域密着店も多く、記者が訪ねると「人通りが10分の1に減った」「廃業も頭をよぎる」と苦境の声が相次いで上がった。

 「3月の売り上げ予想は例年の半分以下」。宇治橋通り商店街に加盟する生花店店長(59)がため息をつく。2月26日に政府がスポーツ・文化イベントの中止を要請した余波で、宇治市も多くの事業中止を決定した。「花を納入予定だった催しが5~6件キャンセルになった」と嘆く。
 3月は卒業式シーズン。市内の小中学校は来賓や在校生の出席を取りやめる縮小開催となり、「先輩に花をプレゼントする機会がなくなり、売り上げが減る」と見込む。退職者送別会でも花束を贈るケースが多いが「そろそろ注文が入る時期なのに、まだない。調子が狂いますね」と語り、「入学式の4月までには感染拡大が収束してほしい」と願う。
 宇治橋に近い鮮魚・総菜店は量を小分けにした商品を並べ、高齢者らに親しまれているが、2月下旬以降、売り上げが例年の半分に落ち込んだという。夫(71)と2人で店を切り盛りする女性(70)は「住民が買い物に出歩かなくなった。生鮮品は買いだめしにくいし」とぽつり。「店先で地元の人とおしゃべりを楽しむ機会もなくなった。年齢も年齢だし、こんな状態が続けば、店をいつやめようかと思ってしまう」とつぶやく。
 平等院表参道に近い場所にある「うじ・はんどめいどショップ」。府内の障害者福祉施設で作られている布製品などを並べ、観光客の来店も多いが、「売り上げゼロになりそうな日が出始めた」と、運営するNPO法人「就労ネットうじ」(同市小倉町)の担当者は話す。「イベントの相次ぐ中止で、3月は出店販売の機会もなくなった。障害者の工賃確保に頭が痛い」と肩を落とす。
 老舗の薬局では、記者が取材中、男性がマスクを求めて訪れ「いつ入荷するか分からないの?」「感染者とすれ違うだけではうつらないの?」と店主の住山一房さん(67)を質問攻めに。住山さんは「予防には、十分な栄養と睡眠などで免疫力をつけるのが大事」と説明していた。
 最近はマスクを手作りするためのガーゼが売れており、それも品薄状態という。住山さんは「マスクは業者から『入るかも』と聞いているが、医療関係などが優先だろうし、地域の小規模店に入荷されるのはいつになるだろうね」と表情を曇らせた。