新型コロナウイルスのホテル運営への影響などについて関係者が意見を交わしたセミナー(京都市下京区)

新型コロナウイルスのホテル運営への影響などについて関係者が意見を交わしたセミナー(京都市下京区)

 新型コロナウイルス感染症が、京都や滋賀のホテル経営を直撃している。宿泊客の急減に加え、主要な収益源である宴会の自粛やビュッフェ形式での食事提供の休止が重なり、「三重苦」ともいえる状況だ。終息が見通せない中、数カ月先の予約キャンセルも相次いでおり、従業員の雇用に影響が及ぶ恐れもある。

 「客室稼働率は2月が前年比3割減で、3月はさらに悪化する」「4~5月まで団体客のキャンセルが広がっている」。新型コロナの感染拡大を受け、京都市内で6日に初開催された「京都経済対策トップ会議」。地元観光団体の代表者は、宿泊業界が直面する深刻な現状を明かした。
 京都市内では近年、宿泊施設の急増に伴う競争激化で、客室稼働率や宿泊料の低下が続いていた。この傾向は新型コロナによる2月以降の観光客の落ち込みでさらに拍車が掛かり、直近のインターネットの大手予約サイトには、千円台など「破格」の料金が並ぶ。
 影響は宿泊部門にとどまらない。感染拡大防止のため政府が不要不急の集まりを避けるよう呼び掛けると、宴会や婚礼のキャンセルが相次いだ。さらに安倍晋三首相がビュッフェ形式の食事の自粛を求めたことで、多くのホテルは、メニューの切り替えを余儀なくされた。
 深刻な状況が続く中、ホテルなどの専門誌を出版するオータパブリケイションズ(東京)が今月2日、京都市内で業界向けセミナーを開催。京滋のホテル関係者は「学校や官公庁関連の宴会が一切消えた」「結婚式のキャンセルが相次ぎ、大変な影響額だ」と口々に窮状を訴えた。
 セミナーでは京滋の大手ホテル総支配人らが、現状について意見を交わした。ホテルグランヴィア京都(下京区)の佐藤伸二総支配人はビュッフェの自粛について「事前に予測していた」としつつ、「業態を変えたことで予約が大幅に減っている」と語った。
 話題は従業員の雇用問題にも及び、びわ湖大津プリンスホテル(大津市)の松本伸夫総支配人は「非正規で常時雇用のスタッフに対する『派遣切り』のような事態が起きる懸念がある」と指摘。他県の事業者からは「パート従業員の雇い止めはすでに起きている」との声も上がった。
 肝心の終息については「あと3カ月は影響が続く」との予想が大勢を占めた。4~5月は、花見客や修学旅行生、大型連休を利用した行楽客が集中する書き入れ時だ。感染の長期化による影響は甚大で、業界には戦々恐々とした空気が漂う。
 「われわれは『被災者』のような状況。『頑張っているから応援してほしい』と声を上げることが大事だ」。出席者の1人は、自らに言い聞かせるように会場に訴えかけた。