2月に行われた車いすバスケットボールの国際大会。パラリンピックの花形競技が、クラス分けの問題で揺れている(大阪市港区・丸善インテックアリーナ大阪)

2月に行われた車いすバスケットボールの国際大会。パラリンピックの花形競技が、クラス分けの問題で揺れている(大阪市港区・丸善インテックアリーナ大阪)

 スポーツが成立する大前提は、一にも二にもフェアな条件で競い合うこと。障害者スポーツでは障害の種類や程度を審査してクラス分けし、公平性を保ってきた。東京パラリンピックまで半年を切った中、議論を呼んでいるのが、車いすバスケットボールのクラス分けの問題だ。突き詰めれば、障害者スポーツとは何か、という根幹に関わってくるテーマでもある。

 経緯を振り返る。国際パラリンピック委員会(IPC)が1月31日、国際車いすバスケットボール連盟(IWBF)のクラス分けはIPCの国際基準を順守していないとして、東京パラの種目から除外する可能性があると警告した。IWBFは急きょ「あらゆる手段を講じる」と是正する意向を示した。

 車いすバスケは、選手が障害の程度に応じて1・0から4・5までクラス分けされ、1チーム5人の合計が14・0以下になるように編成しなければならない。さまざまな障害の選手が参加できるように配慮した仕組みだ。IPCが問題視したのは、障害が軽い4・0と4・5。IPCが障害と認めていない関節炎などの選手が含まれているとみられ、パラリンピック出場資格を満たしていないと指摘された。このクラスはチームの得点源となる選手が多く、出場できなければ影響は大きい。

 この問題について、関係者の口は重い。2月に大阪市で行われた国際大会では、クラス分けに関する取材を控えるように主催者から要請があった。日本代表には京都を練習拠点とする4・5の選手もいる。関係者は「本当にどうなるか分からない。とにかく選手を守ってほしいという思いだけ」と語る。

 クラス分けの問題に詳しい日本パラ陸上連盟の指宿立(たつる)理事は「長年指摘されていること。IWBFはIPCの基準を軽視してきた」と批判する。IPCが障害の統一基準を示したのは2007年。当時からIWBFのクラス分けが基準に沿っていないのは明らかで、是正が必要だったという。これまで改められなかったのは、独自の制度で人気を集めてきた伝統と、車いすバスケの重鎮が17年までIPC会長を務めていたことが背景にあるとされる。

 ただ、なぜ、IPCの「除外警告」が東京パラの開催年までずれこんだのかという疑問を感じる。大舞台での活躍を期す現場には、不安と混乱が広がるばかりだ。まして突然出場が断たれれば、競技に人生を懸けてきた選手にとってこれほどの悲劇はない。

 一般的な障害者スポーツは幅広い参加者に運動を楽しんでもらうことが理念だ。柔軟にルールを適応させながら発展してきた歴史がある。一方パラリンピックは、規模の拡大とともに競技性が高まっている。出場資格の標準化や透明性の確保が、今後さらに求められるだろう。競技団体や選手、観戦者を含め、公平性を担保するクラス分けについて理解を共有したい。